「【アミーリア】……これは本名だろうか?」
僕は今日も彼女からのコメントを読み返しては、
「ふふふふふふふ、……ふははははははは‼」
笑っていた。
あぁ、なんと素晴らしい女性なのだろう。僕の作品に心を打たれて涙を流すなんて……僕の作品を理解できる人間が、このウィンディにもちゃんと存在していたのだ……! いたならもっと早く出てきて欲しかったものだ、まったく。
あぁ、彼女は一体どんなひとなのだろう? きっとヴィーナスのように美しいに決まっている。あぁ、そうに違いない。この僕の芸術を理解して涙を流せるほどの心と感性を持った女性が、美しくないわけがないのだから!
しかしこんなふうに1人で騒いでいても仕方がない。
僕はウィンディ内のメールボックスを開き、彼女あてにメッセージを送ってみることにした。
僕がどんな素晴らしい文章を書いたのか気になるのかい? 仕方ないね。そんなに知りたいのなら特別に教えてあげよう。
僕から彼女への記念すべき初のダイレクトメッセージは、これさ!
『動画にコメントありがとう! これからもよろしくね!』
以上だ!!
……ん? こんなのコメントの返信にでも書けば済むだろうって? そんなことは僕だってわかっている! しかし今、僕らの間に多くの言葉は必要ない。僕らは同じ感性を持っていて、何も語らずともわかり合えるのだから!
「あれ? 昨夜あんなに悩んでた長文どこにやったの? まさか全部諦めて残ったのがそれ?」
「ベル!? いつからそこに!?」
驚いて椅子から転げ落ちた僕を、神も仏もない顔で見下ろしているベロニカは、当然手を貸してくれるでもなく、別の話を始めた。
「ねえ。あたしはお盆に一週間ぐらい実家に帰るつもりだけど、アンタはどうするの?」
「え、実家? 今年はまだわからないよ」
なんで急に実家?
「なんでよ? 毎年帰ってるじゃない」
「ベル、君は最近やたらと幼馴染キャラを主張してくるけれど、何かあるのかい?」
「……」
ベロニカは、何か言いたげな……しかし全てを投げ出したかのように一度口を閉じて、僅かな間を挟んだ後に、僕に背を向けてから再び言葉を発した。
「……もういいわ。好きにしたらいいじゃない。インターネットって危ないのよ。何かあっても知らないから!」
「? おい、ベル? どこに行くんだ? 帰るのかい?
……って、もう居ないし。ふむ……女の子はよくわからないな」
次の日、僕の姫君……アミーリアからDMの返信が届き、僕は歓喜した。
内容は、
『わざわざメッセージありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします』
だけだったので、このままではこのやり取りはここで終わってしまう。
僕はどうしても彼女との対話を終わらせたくなかったので、更に返信ですぐに次の動画を投稿する旨と、またコメントして欲しいという気持ちを綴り、言葉通りすぐに動画をアップした。
律儀な彼女はちゃんとコメントをくれたので、僕は再びDMでコメントに対するお礼の言葉を送信した。これを繰り返し、繰り返し……途切れることのないよう続けるのだ。
そして……
『いつも返信を求めてごめんね。無理やり付き合わせている自覚はあるけれど、不快じゃないかい?』
『いいえ。あなたは私にとって、【特別な人】なのです』
ある日、アミーリアが不思議なことを言い出した。
『特別?』
『……ごめんなさい。詳しいことは言えません。でも、【特別】なんです。あなただけは他の人と違うんです』
彼女の言う特別がどういう意味なのかはわからない。
けれど、僕にとっての彼女もまた、特別な人であることに違いはない。
僕は思った。
彼女がこうして新しい言葉をくれたのも、何かのきっかけなのかもしれないと。
だから僕も、今日まで心にとどめておいた言葉を、ここで解放した。
『いつも僕の作品を見てくれてありがとう。ところで僕は、君の作品も見てみたいんだ』
僕は今日も彼女からのコメントを読み返しては、
「ふふふふふふふ、……ふははははははは‼」
笑っていた。
あぁ、なんと素晴らしい女性なのだろう。僕の作品に心を打たれて涙を流すなんて……僕の作品を理解できる人間が、このウィンディにもちゃんと存在していたのだ……! いたならもっと早く出てきて欲しかったものだ、まったく。
あぁ、彼女は一体どんなひとなのだろう? きっとヴィーナスのように美しいに決まっている。あぁ、そうに違いない。この僕の芸術を理解して涙を流せるほどの心と感性を持った女性が、美しくないわけがないのだから!
しかしこんなふうに1人で騒いでいても仕方がない。
僕はウィンディ内のメールボックスを開き、彼女あてにメッセージを送ってみることにした。
僕がどんな素晴らしい文章を書いたのか気になるのかい? 仕方ないね。そんなに知りたいのなら特別に教えてあげよう。
僕から彼女への記念すべき初のダイレクトメッセージは、これさ!
『動画にコメントありがとう! これからもよろしくね!』
以上だ!!
……ん? こんなのコメントの返信にでも書けば済むだろうって? そんなことは僕だってわかっている! しかし今、僕らの間に多くの言葉は必要ない。僕らは同じ感性を持っていて、何も語らずともわかり合えるのだから!
「あれ? 昨夜あんなに悩んでた長文どこにやったの? まさか全部諦めて残ったのがそれ?」
「ベル!? いつからそこに!?」
驚いて椅子から転げ落ちた僕を、神も仏もない顔で見下ろしているベロニカは、当然手を貸してくれるでもなく、別の話を始めた。
「ねえ。あたしはお盆に一週間ぐらい実家に帰るつもりだけど、アンタはどうするの?」
「え、実家? 今年はまだわからないよ」
なんで急に実家?
「なんでよ? 毎年帰ってるじゃない」
「ベル、君は最近やたらと幼馴染キャラを主張してくるけれど、何かあるのかい?」
「……」
ベロニカは、何か言いたげな……しかし全てを投げ出したかのように一度口を閉じて、僅かな間を挟んだ後に、僕に背を向けてから再び言葉を発した。
「……もういいわ。好きにしたらいいじゃない。インターネットって危ないのよ。何かあっても知らないから!」
「? おい、ベル? どこに行くんだ? 帰るのかい?
……って、もう居ないし。ふむ……女の子はよくわからないな」
次の日、僕の姫君……アミーリアからDMの返信が届き、僕は歓喜した。
内容は、
『わざわざメッセージありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします』
だけだったので、このままではこのやり取りはここで終わってしまう。
僕はどうしても彼女との対話を終わらせたくなかったので、更に返信ですぐに次の動画を投稿する旨と、またコメントして欲しいという気持ちを綴り、言葉通りすぐに動画をアップした。
律儀な彼女はちゃんとコメントをくれたので、僕は再びDMでコメントに対するお礼の言葉を送信した。これを繰り返し、繰り返し……途切れることのないよう続けるのだ。
そして……
『いつも返信を求めてごめんね。無理やり付き合わせている自覚はあるけれど、不快じゃないかい?』
『いいえ。あなたは私にとって、【特別な人】なのです』
ある日、アミーリアが不思議なことを言い出した。
『特別?』
『……ごめんなさい。詳しいことは言えません。でも、【特別】なんです。あなただけは他の人と違うんです』
彼女の言う特別がどういう意味なのかはわからない。
けれど、僕にとっての彼女もまた、特別な人であることに違いはない。
僕は思った。
彼女がこうして新しい言葉をくれたのも、何かのきっかけなのかもしれないと。
だから僕も、今日まで心にとどめておいた言葉を、ここで解放した。
『いつも僕の作品を見てくれてありがとう。ところで僕は、君の作品も見てみたいんだ』


