電影ゴシカ―幽閉された悪魔の仔―

 インターネットは、私に初めて外の世界を教えてくれた。

 インターネット上に溢れる写真画像は、世界各地の自然の風景や、都会の街並み、建造物、そして、この屋敷の住人以外の人間達の姿も映していた。
 それは今まで、本の挿絵でしか見たことのなかったもの達。暫くの間は、一日中様々な写真を見ることだけに夢中でいられた。
 ――しかしある時、私はついに出会ってしまった。


『……ウィンディ?』


 ひたすらに写真画像ばかりを漁りながら、ようやくパソコンやインターネットのちゃんとした使い方を把握し始めた頃。大手検索サイトの広告で、《そのサイト》に何となく目を引かれた。
 ――思えばこの瞬間が、全ての始まりだったのでしょう。


 私は、動画というものに出会ってしまった。
 それまではテレビすら本の挿絵でしか見たことがなかったのに。動画は、絵とも写真とも全く違う。そこには動いて話している、外の世界の人々の姿があった。
 そしてその後すぐにライブ配信にも出会った。勇気を出して『こんにちは』と文字を入力してみたら、画面の中の《誰か》は私の名前を呼び、『こんにちは』と言って手を振ってくれた。
 私は呆然としていた。
 この部屋と外の世界には……――ちゃんと同じ時間が流れている。外には私の知らないたくさんの人間がいる。みんな、生きている。様々な感情が沸き上がってはぶつかり合って、……気が付けば、涙が勝手に流れて止めることができなくなっていた。