桜が、舞っていた。 風が吹くたび、薄桃色の花びらが空へひらひらと舞い上がっていく。 一枚…また一枚と… 「……また会えるよね?」 少女は、涙をこらえながら尋ねた。 目の前にいる少年は、少しだけ寂しそうに笑った。 「会えるよ」 「ほんと?」 「うん。約束する」 少年は桜の木を見上げてから、少女に小指を差し出した。 「高校生になったら絶対戻ってくる。そして、またここで会おう」 少女も小さな小指を絡める。 「絶対だよ」 「うん。絶対」 二人だけの約束。 あの日から、十年が経った。