「周りはさ、誰が好きだとか、誰とデート行くとか、そういう話ばっかりじゃん。でも俺には全くわからないんだよ」
伊月が目を伏せた。
「『伊月は好きな人いないの?』って当然のように訊かれるたびに、俺は周りと違うのかなって思うようになってさ」
「……それでどうして私が出てくるの?」
美緒である必要はない。それなのにあえて美緒を選ぶ理由がわからなかった。
「西村が俺を好きじゃないから」
――本当は好きなのに。
口に出てしまいそうな言葉を飲み込む。美緒が伊月を好きじゃないから選ばれたのだ。ここで本当は好きだと言ったら、きっとこの話はなかったことになる。しかしそれは伊月と付き合うことが白紙になることを指す。
「俺、恋愛感情が何か知りたいんだ。一ヶ月だけ。俺に恋愛を教えてほしい」
頭と膝がくっつくくらいまで深く頭を下げた伊月に、美緒はほんのりと優越感を覚えていた。
伊月が目を伏せた。
「『伊月は好きな人いないの?』って当然のように訊かれるたびに、俺は周りと違うのかなって思うようになってさ」
「……それでどうして私が出てくるの?」
美緒である必要はない。それなのにあえて美緒を選ぶ理由がわからなかった。
「西村が俺を好きじゃないから」
――本当は好きなのに。
口に出てしまいそうな言葉を飲み込む。美緒が伊月を好きじゃないから選ばれたのだ。ここで本当は好きだと言ったら、きっとこの話はなかったことになる。しかしそれは伊月と付き合うことが白紙になることを指す。
「俺、恋愛感情が何か知りたいんだ。一ヶ月だけ。俺に恋愛を教えてほしい」
頭と膝がくっつくくらいまで深く頭を下げた伊月に、美緒はほんのりと優越感を覚えていた。
