未回答の終点

「わ、私と?」

美緒の声が上擦る。
伊月がしばらく黙った後、唐突に頭を下げた。

「……ごめん」
「え?」

急展開に美緒は混乱する他ない。

「ちょっと待ってよ長谷川くん。なんで謝るの?」
「……だって西村は俺のこと好きじゃないでしょ?」
「えっ」

好きだった。美緒はずっと伊月に片思いしていた。

「だから、西村にしか頼めないことなんだ」
「待って、全然意味わかんないって。ちゃんと説明してよ」

美緒の言葉にようやく伊月が落ち着いたように頷いた。

「ごめん、ちゃんと説明する」

そこら辺にあった椅子に適当に座る。それが誰の指定席だったのか覚えていないし、今の美緒にはそれを考える気になれなかった。

「俺、恋愛感情がわからないんだ」

窓の外の夕日が伊月の顔を染める。まるで照れている時の顔の明るみのようで、美緒は錯覚した。

まるで本当に長谷川くんに告白されているみたい。

でも、実際は違うのだろう。伊月は恋愛感情がわからないと言っている。
それに、伊月は一度も「好き」とは言っていないのだから。