未回答の終点

「わ、私と?」

思わず声が上擦ってしまった。連絡の内容から予想はしていたけど、さすがに面と向かって言われると照れる。それに、やっぱりなんで私? って思ってしまう。

「あの、長谷川くん。一つ訊きたいんだけど」
「なに?」
「なんで私なの? 私のどこが好きなの?」

矢継ぎ早に尋ねると、長谷川くんはなぜか辛そうな顔をした。

「ごめん。ちゃんと説明してなかった」

夕暮れで少し冷えた風が窓から入り込み、私たちの間をすり抜ける。

「俺、西村のこと好きじゃないんだ」
「は?」

間抜けな声が漏れた。

好きじゃない。好きじゃない? 好きじゃないのに告白してるの? なんで?

そこで私ははっとした。
そうか、わかった。これは罰ゲームだ。嘘告というやつだ。
誠実なイメージの長谷川くんが人の心を弄ぶなんて印象下がるけど、はい付き合いましょうってなって後から嘘告でしたってなったらそれこそショックで立ち直れない気がする。
だから今のうちに嘘告だって言っておけば傷は最小限で済む。それが優しさなのかはわからないけど。

「嘘告でもいいよ」

私がそう言うと、次は長谷川くんが目を丸くした。

「え? ちょっと待ってよ」
「嘘告でもいいよ。それで長谷川くんが満足するなら」
「西村っ——」
「それで、私に嘘告するように提案したのは誰? 坂村くん? 川口くん? それとも金子さんとか?」

長谷川くんが何か言いたそうにしてるけど、私はあえて気づかないふりをした。だって、本人の口から嘘告ですなんて言われたら、自分が惨めで仕方ないから。結局時間稼ぎでしかないことはわかっているけど。

「みんなには騙されてたって言っていいよ。ところでこの嘘告って告白してすぐにバラすタイプ? それともちょっと付き合ってからバラすタイプ?」
「西村、俺の話聞いて」
「長谷川くんも大変だね。大して仲良くない人に嘘告なんて」

自分で言って泣けてきた。でもやめられない。
私と長谷川くんが釣り合うなんてありえないのはわかっていた。でも嘘告されるなんて。

「それでこれからどうする? 付き合ってるふりでも——」
「西村!」

一際大きな声に口を噤む。どんどん下がっていた視線を上げると、苦しげに口元を歪める長谷川くんがいた。
なんで長谷川くんが泣きそうな顔してるの。泣きたいのはこっちなんだよ。