君に、届かない恋をした

じりじりとした暑さが続く、今年の夏。

『今年は猛暑が続くでしょう』

 そう、お天気キャスターがテレビで言っていた。

 7月──。
 夏休み2日目。

「ねー、今日はあれ、見るー?」

 私、白雪綾乃は、母にそう尋ねた。

「あれ」というのは、今年の夏に放送される「夏ドラマ」のことだ。

 私が「おもしろそうだから見てみたい」と言って、録画してもらっていた番組。

「見よっかー」

 母がそう言うと、私はとても喜んだ。

 だって、ずっと見たくて、うずうずしていたから。

 そのドラマを知ったきっかけは、『2025年 夏ドラマ集合SP』という番組だった。

 そこでは、夏に放送されるドラマの出演者たちが集まり、ゲームなどをしていた。

 その中に、今回のドラマに出演する俳優さんもいた。

 そして今。

 父、母、私、弟。

 家族全員が食卓に集まって、ドラマを見始める。

 やっぱり、あの番組でも思っていたけど。

 イケメンだなぁ。

 ドラマを見ながら、そんなことを思った。

 そもそも、彫りの深い、きれいな顔立ちなんだ。

 綺麗な目。
 凛々しい眉。
 筋の通った鼻。
 形のいい唇。

 そして、低音ベースのハスキーな声。

 その中には、どこか甘さと包容力が同居している。

 そのすべてが、この男を形作っていた。

 スーツも似合えば、私服も似合う。

 そんな、素敵な人だった。

 ドラマが見終わってから、私はその人のことを調べた。

 名前は──氷室蓮。