沈丁花

 もし、自分が走れなくなったとき、どうなっていただろうか。いつものように笑って誤魔化していただろうか。自分の感情をうまく表に出すことが出来ない。だから、君をうらやましく思ったことがある。
 ふと、手元にあるモノをパラパラッと捲ると、名前の付かない感情が募る。
 「え……?」
 最後の一ページ。最後の最後まで君らしくて、馬鹿みたいに笑えてくる。
 「そういうとこだよな君は」
 堪えていたものが一気に溢れだす。無くすものなどないと思っていた過去の自分が嘘のように、滝のように制御できない感情がどこまでもずっと、ずっと–––––––。