マクブライド家の屋敷には、以前のような華やかさはもうなかった。
広い綿花畑は焼け落ち、かつて白い花を一面に咲かせていた土地には、黒く焦げた土が広がっている。
けれど、屋敷だけは残った。
私は焼け跡を眺めながら、エリザ夫人とエリザベスお嬢様に言った。
「何があっても最後に残るのは土地だ、と旦那様はいつもおっしゃられていたじゃないですか」
二人は黙って私を見ていた。
「家は無事ですし、土地は耕せなくてもあります!」
私は屋敷の中から持ってきた一冊の聖書を抱きしめた。
「それに……これがあります」
「聖書?」
エリザベスお嬢様が首を傾げる。
「はい」
私は聖書を開いた。
「本は、何度でも作れます。土地が焼けても、本まで一緒に焼けるとは限りません」
「ケイト……」
「それに、これからは印刷を使った出版が物を言う時代です!」
「出版……?」
エリザ夫人が聞き返した。
「はい!」
私は胸を張った。
「新しい事業を始めましょう!」
こうして、私たちは屋敷の近くにある小さな印刷工房を訪ねた。
戦争によって仕事を失った職人たち。
使われなくなった印刷機。
金属活字。
紙。
インク。
最初は本当に小さな仕事だった。
聖書の一部。
祈祷書。
子どもたちが読むための簡単な宗教教材。
そして、学校で使う教科書。
やがて私たちは、子どもたちがもっと楽しんで読める本を作りたいと思うようになった。
ある日、イギリスから取り寄せた一冊の本をエリザベスお嬢様が夢中になって読んでいた。
「何を読んでいるんです?」
「これよ」
本の表紙を見る。
私は目を丸くした。
「……『不思議の国のアリス』?」
「知っているの?」
「ええ……まあ」
私は答えながら、不思議な気持ちになった。
自分が現代で知っている本が、この時代で初版が目の前に存在している。
そして、それが新しい出版社を作るきっかけになっていく。
マクブライド家の小さな印刷所は、少しずつ大きくなっていった。
子どもの本。
物語。
教科書。
読み物。
やがてそれらは、アメリカ各地へ送られるようになった。
そしていつしか
マクブライドという名前は、アメリカの出版の世界で知られるようになっていった。
私はその光景を見ながら、ふと思った。
これでよかったのだ。
畑を失っても。
家族を失っても。
すべてを失ったように見えても。
新しいものを作ることはできる。
それを教えてくれたのは、私自身だったのかもしれない。
けれど―
次の瞬間。
世界がぐらりと揺れた。
「え?」
目の前が真っ白になる。
エリザベスお嬢様の声が聞こえた。
「ケイト!」
遠くからエリザ夫人の声がする。
「ケイト!」
私は手を伸ばした。
「待って!」
何かが手の中に触れた。
柔らかなもの。
白いもの。
私はそれをぎゅっと握りしめた。
そして…
(3章最後に消えた私の行方は
子ども用聖書とかを作るときに仲良くなった神父さんや修道女や牧師夫妻が日本に宣教に行ったから養女となってついて行ったのではないか?や本の出版の時に仲良くなった商人か日本に行ったから養女になってついて行ったのではないか?と噂されていた模様。
そういえばケイトがたびたび話してた日本という国について調べたらつい最近アメリカと貿易始めたばかりだとわかった。
ケイトの話は本当だったとお嬢様や奥様や同僚の人たちは気づいた。らしい…夢でそのような場面を見た模様)
広い綿花畑は焼け落ち、かつて白い花を一面に咲かせていた土地には、黒く焦げた土が広がっている。
けれど、屋敷だけは残った。
私は焼け跡を眺めながら、エリザ夫人とエリザベスお嬢様に言った。
「何があっても最後に残るのは土地だ、と旦那様はいつもおっしゃられていたじゃないですか」
二人は黙って私を見ていた。
「家は無事ですし、土地は耕せなくてもあります!」
私は屋敷の中から持ってきた一冊の聖書を抱きしめた。
「それに……これがあります」
「聖書?」
エリザベスお嬢様が首を傾げる。
「はい」
私は聖書を開いた。
「本は、何度でも作れます。土地が焼けても、本まで一緒に焼けるとは限りません」
「ケイト……」
「それに、これからは印刷を使った出版が物を言う時代です!」
「出版……?」
エリザ夫人が聞き返した。
「はい!」
私は胸を張った。
「新しい事業を始めましょう!」
こうして、私たちは屋敷の近くにある小さな印刷工房を訪ねた。
戦争によって仕事を失った職人たち。
使われなくなった印刷機。
金属活字。
紙。
インク。
最初は本当に小さな仕事だった。
聖書の一部。
祈祷書。
子どもたちが読むための簡単な宗教教材。
そして、学校で使う教科書。
やがて私たちは、子どもたちがもっと楽しんで読める本を作りたいと思うようになった。
ある日、イギリスから取り寄せた一冊の本をエリザベスお嬢様が夢中になって読んでいた。
「何を読んでいるんです?」
「これよ」
本の表紙を見る。
私は目を丸くした。
「……『不思議の国のアリス』?」
「知っているの?」
「ええ……まあ」
私は答えながら、不思議な気持ちになった。
自分が現代で知っている本が、この時代で初版が目の前に存在している。
そして、それが新しい出版社を作るきっかけになっていく。
マクブライド家の小さな印刷所は、少しずつ大きくなっていった。
子どもの本。
物語。
教科書。
読み物。
やがてそれらは、アメリカ各地へ送られるようになった。
そしていつしか
マクブライドという名前は、アメリカの出版の世界で知られるようになっていった。
私はその光景を見ながら、ふと思った。
これでよかったのだ。
畑を失っても。
家族を失っても。
すべてを失ったように見えても。
新しいものを作ることはできる。
それを教えてくれたのは、私自身だったのかもしれない。
けれど―
次の瞬間。
世界がぐらりと揺れた。
「え?」
目の前が真っ白になる。
エリザベスお嬢様の声が聞こえた。
「ケイト!」
遠くからエリザ夫人の声がする。
「ケイト!」
私は手を伸ばした。
「待って!」
何かが手の中に触れた。
柔らかなもの。
白いもの。
私はそれをぎゅっと握りしめた。
そして…
(3章最後に消えた私の行方は
子ども用聖書とかを作るときに仲良くなった神父さんや修道女や牧師夫妻が日本に宣教に行ったから養女となってついて行ったのではないか?や本の出版の時に仲良くなった商人か日本に行ったから養女になってついて行ったのではないか?と噂されていた模様。
そういえばケイトがたびたび話してた日本という国について調べたらつい最近アメリカと貿易始めたばかりだとわかった。
ケイトの話は本当だったとお嬢様や奥様や同僚の人たちは気づいた。らしい…夢でそのような場面を見た模様)
