春夏秋冬花祭 —夏の花は、不知火に結われて—

 結俐が紅羽に選んだ浴衣は、白をベースに、桃色と水色の花があしらわれたものだった。

 帯は黄土色で、止める紐は黒。

 肩に少し当たるくらいの紅羽の髪は、編み込みでふわりとまとめられていた。

 桃色の牡丹の花簪も、よく似合う。

「うん、かわいい!」

 結俐が満足げに紅羽を見る。

「絵美さん、ネイルのほうはどうですか?」

「ばっちりです。どうですか、結俐さん。紅羽お嬢様に、似合っているネイルになったと思いますよ」

 紅羽はそっと、二人のほうに手を差し出した。

 紫、濃い桃色、朱色を重ねたグラデーションに、白い雲が描かれている。

 夕暮時を思わせる、上品な色合いだった。

「うん、紅羽によく似合う。ありがとうございます、絵美さん」

「私は最善を尽くしただけです。さあ、車でお送りします。紅羽お嬢様のエスコートは、お任せしますね」

「承りました」

 結俐は微笑み、そのまま紅羽に手を差し出した。

 紅羽は結俐を見上げ、その手に自分の手を重ねる。

「紅羽、移動できる?」

「うん」

 紅羽は一度、結俐の手を見た。

 それから、顔をあげて、微笑んだ。

「……結俐と一緒なら」

 結俐は目を見開いた。

 紅羽はそんな結俐を、じっと見つめる。

 その視線を受けて、結俐は少し目を伏せた。

 それから、目じりを下げて微笑んだ。

「じゃあ、一緒に行こうか」

 結俐はぎゅっと、紅羽の手を握った。

 紅羽も、それを握り返す。

 その力は、結俐のそれより、少しだけ強かった。