ありふれた毎日に光の花束を

「ふわぁぁ....」

 結局あのあと宿題と授業の復習をして、
寝たのは日を越してからだった。


 いつも通りに起きたものの、睡眠時間を削るのはやっぱりきつい。
お弁当を詰める手も今日はなんだか遅い気がする。


「おはよう」
 背後からかけられた声に、私はびっくりして目を見開いた。


「……お、おはよ」

 振り返ると、そこには狭い車内で寝て体が痛むのか、肩をすぼめて笑うお父さんがいた。

私は、ぎこちない笑みを返すのが精一杯だった。


 父は長距離運転手だ。
月のほとんどをトラックの中で過ごしている。

帰ってきても、私が寝ている時間に帰ってきて、私が起きる前にはまた出ていく。

だから、こうして朝に父と顔を合わせるのは、本当に久しぶりだった。
 

「お父さん、いつ帰ってきたの? 部屋で寝ればよかったのに」

「あぁ……夜中の2時くらいには家についてたんだけどな。
今から部屋に入ったら起こしてしまうだろうと思ったから、トラックの寝台で少し仮眠してたんだよ」

「そう……。じゃあ、私学校行くから」

 まともに顔を見られないまま、私は家を出た。


 私たちのために頑張ってくれているのはわかってる。
でも、久しぶりに顔を見ると何を話せばいいのか、わからなくなる。


 父がトラック運転手になったのは、5年前、花鈴が生まれてからだ。

それまでの私たちは仲のいい家族だった。

休日には三人で出かけることもあった。

父も母も笑っていて、私もそれが続くものだと思っていた。


 それが、花鈴が生まれてから少しずつ変わっていった。

理由は、私にもわからない。


 でも、それまで仲良く幸せな家庭を築いてきたのが壊れてしまったことが、今でも私の胸に深く残っている。