あの子みたいには、なれなくて。だから私は私を生きる。

それからいくらか日が経った。

私は紗良に対する小さな怒りを一人、どこにぶつけたら良いのか悩んでいた。




すると、紗良がこちらの心情も知らずに、笑顔で私の肩をポンポンと叩いた。

紗良と私は前後の席なのだ。



「あのさ、紬っ」

「何?」


「私ね、彼氏できたの!!隣のクラスの、月島魁斗くん!魁斗くんの方から告白してもらっちゃった」

頬を薔薇色に紅潮させてうっとりしながら話し始める紗良が、正直鬱陶しかった。


何よ。

私は地味で彼氏いなくて、一軍にも入れてないから馬鹿にしたいんでしょう?


「そうなんだね。応援してるよ、紗良」

嘘。

大嘘。


あんたのことなんて、これっぽちも応援する気はないから。


「ありがとうっ……!」

ぺこぺこと頭を下げる紗良に向けた私の視線は、多分、今までにないほど冷たかったと思う。


氷よりもかたくて冷たくて、そして、鋭かっただろう。