短編小説「ちくわ」

トン、トン、トン、トン

「こら、危ないからもう少し離れて」

「うん」

トン、トン、トン、トン

「次はニンジン
まずは頭とお尻を切る」

「ママ、私もやりたい」

「手を切らないように
気をつけてね」

「うん」

トンッ

「上手ね」

トンッ

「できた」

「じゃあ次は皮むきね」

「うん」

シュ、シュ、シュ、シュ

シュ、シュ、シュ、シュ

「上手ね、次は乱切り
出来るかな?」

「うんっ!」

トン、トン、トン、トン

「その調子」

トン、トン、トン、トン

「出来た」

「ありがと、次ママやるね」

「うん、ちくわー」

「そっ、ちくわ
取ってくれるかな」

「うん…うん?」

「どうしたの?」

「重い」

「…え?」

「なんか詰まってるー」

「詰まってる?」

「…なんかいる、ほら」

「え?…何もないわよ?
ほらあなたの顔がみえるよ」

「ぐるぐるしてる」

「ぐるぐる?」

「うん、ぐるぐるー」

「…?ぐるぐるかー
してるかもねー」



「切る?」

「うん、切るねー」

トンッ

「ぁぁぁああああ」

「ママ!?」

「どうしたの?」

「やっぱり何か詰まってるよ!」

「…?そうかもねー」

トンッ

「ぁぁぁああああ」

トンッ

「ぁぁぁぁぁああああああ」

「ママー!!」

「なに?」

「なんかこのちくわおかしいよ?」

「そう?」

トンッ

「ぁぁぁああああっ」

トンッ

「ママーー!!」