羽歌の世界〜聞こえてたいのに〜
夢斗先輩が背を向けた直後に自分の番号が呼ばれた。診察室へ向かうとさっきと同じ先生がいた。しかし、さっきよりも少し暗い顔をしていた。先生が口を開く。「単刀直入に申し上げます。娘さんは「前庭水管拡大症」という生まれつきの特徴が備わっていることが判明しました。」ぜんて…ナントカ症…??聞いたことがない。父も不思議そうな顔をしている。先生が説明を始めた。「前庭水管拡大症は、内耳の一部である前庭水管が生まれつき太く広がることで、感音難聴やめまいを引き起こす先天性の内耳奇形です。」……え?難聴?こんなに聞こえすぎているのに?「それって聴覚過敏とは関係ありますか?」どうしても分からなくて先生に聞いた。すると先生は冷静に「前庭水管拡大症と「聴覚過敏」には深い関係があります。前庭水管拡大症の患者さんは、音が聞こえにくくなる一方で、特定の音が異常に大きく響いて不快に感じたり、苦痛に思えたりする「聴覚過敏」を併発することが珍しくありません。」と説明した。それから、と先生が続けて言った。「人間の耳の奥には気圧を感知するセンサーがあります。前庭水管拡大症の方は、通常よりも内耳の圧力バランスが崩れやすい構造をしているため、雨の日の急激な低気圧によって内耳のリンパ液の圧力が大きく変動します。これにより、いつも以上に頭がふわふわしたり、ぐらぐらとしためまいやふらつきが強く出やすくなります。」たしかに当てはまる部分がたくさんある。特定の音、救急車、クラクションなどの高い音がこれでもかというほどの拒否反応を示す。雨の日の目眩が酷い。「このままだと娘はどうなるんですか?」父が暗い顔をして先生に聞いた。先生が冷静に言い放つ。「適切な対策や治療を行わずに放置すると、「聴力の急激な低下」や「日常生活に支障が出るレベルの体調不良・孤立」につながるリスクがあります。」え………目の前が真っ暗になった気がした。聞こえなくなるの…?孤立…?耳のせいで…?
その後のことは覚えていない。しかし「交換ノート」のことは頭から離れなかった。
夢斗先輩が背を向けた直後に自分の番号が呼ばれた。診察室へ向かうとさっきと同じ先生がいた。しかし、さっきよりも少し暗い顔をしていた。先生が口を開く。「単刀直入に申し上げます。娘さんは「前庭水管拡大症」という生まれつきの特徴が備わっていることが判明しました。」ぜんて…ナントカ症…??聞いたことがない。父も不思議そうな顔をしている。先生が説明を始めた。「前庭水管拡大症は、内耳の一部である前庭水管が生まれつき太く広がることで、感音難聴やめまいを引き起こす先天性の内耳奇形です。」……え?難聴?こんなに聞こえすぎているのに?「それって聴覚過敏とは関係ありますか?」どうしても分からなくて先生に聞いた。すると先生は冷静に「前庭水管拡大症と「聴覚過敏」には深い関係があります。前庭水管拡大症の患者さんは、音が聞こえにくくなる一方で、特定の音が異常に大きく響いて不快に感じたり、苦痛に思えたりする「聴覚過敏」を併発することが珍しくありません。」と説明した。それから、と先生が続けて言った。「人間の耳の奥には気圧を感知するセンサーがあります。前庭水管拡大症の方は、通常よりも内耳の圧力バランスが崩れやすい構造をしているため、雨の日の急激な低気圧によって内耳のリンパ液の圧力が大きく変動します。これにより、いつも以上に頭がふわふわしたり、ぐらぐらとしためまいやふらつきが強く出やすくなります。」たしかに当てはまる部分がたくさんある。特定の音、救急車、クラクションなどの高い音がこれでもかというほどの拒否反応を示す。雨の日の目眩が酷い。「このままだと娘はどうなるんですか?」父が暗い顔をして先生に聞いた。先生が冷静に言い放つ。「適切な対策や治療を行わずに放置すると、「聴力の急激な低下」や「日常生活に支障が出るレベルの体調不良・孤立」につながるリスクがあります。」え………目の前が真っ暗になった気がした。聞こえなくなるの…?孤立…?耳のせいで…?
その後のことは覚えていない。しかし「交換ノート」のことは頭から離れなかった。
