君が夢みた世界を知りたい

羽歌の世界〜聞こえてたいから〜
倒れた翌日、父と一緒に総合病院へ行った。いつも行っている病院の先生に書いてもらった紹介状を提出し、椅子に座って待機する。診察番号が呼ばれ、診察室へ向かう。それから、説明を受けて、血液検査、CT検査、聴覚検査、生理検査?(バランスとかふらつきを診るらしい)を受けることになった。今日は平日にも関わらず人が多く、血液検査を待つのだけで1時間ほどかかった。結果が出るのも1時間ほどだというのでその間に他の検査も受けることにした。血を採って、4階の放射線科へ行き、CTを撮る。その後、生理検査?を受けた。それしても、院内は明るい照明に似合わず暗い雰囲気を醸し出していた。みんな疲れ果てたような面倒くさがるようなオーラを発していた。みんな目が死んでいた。その雰囲気に引っ張られるように私の心も重くなっていっていた。そのとき、見覚えのある顔が前をよぎった。いや、そんなはずはない。今の時間は学校だ。でも、あの人ならあり得るのだ。耳が聞こえないのだから。今の時間に病院に耳鼻咽喉科にいても不思議ではないのだ。木倉夢斗先輩。もう一度確認するようにちらっと見るとやはりそうだった。同じ日、同じ病院、同じ時間帯。少し運命を感じてしまうようだった。パチッ…あ、目が合った。合ってしまった。気まずさを隠せず愛想笑いを浮かべて会釈をした。すると、あっちは不思議そうにでも柔らかく笑みを浮かべ丁寧に会釈を返してくれた。