羽歌の世界〜分かっていたはずなのに〜
ノートを置いた翌々日の朝。美術室へ立ち寄るとまたノートに返事があった。
「名前も知らない君へ
交換ノートへのお返事嬉しかったです。僕の好
きなことは、「彩」を見つけることです。よく分
からないことを言っている自覚はあるんですけど
ね笑ただ「彩」を見つけることができればその
「彩」が僕の一部になってくれる気がするん
すよ。これから、あなたのことはなんと呼べば
良いですか?」
「彩」を見つける?「色」ではないのか?僕の一部になる…本当に不思議な人だな。ノートに線が引かれているのにはみ出てたり斜めってたりしている。
これから私のことをなんと呼べばいいのか、か。
羽、からとってウイングでもいいかな。そのときの私はまだ自覚していなかった。心のどこかでこのやりとりを楽しみにしていたということを。
その日の昼休み、雨が振っていたので教室でクリームパンを頬張っていた。頭の痛みとそれから目眩を誤魔化すように。耳栓を付けているのがしんどくなって外したその瞬間、「アハハハハッ」「バンバンバン」高い女子生徒の笑い声、男子生徒の机を叩く音がした。視界が暗くなった。あぁ、いつものか。薄れていく意識であくまで冷静にそんな思っていた。………………バタンッ……
…ふぅ…まだ曖昧な視界と脳みそを使ってどんな状況なのかを必死に考えた。失神した自分。その自分を囲んでいるたくさんのクラスメイト。同情の目。呆れている目。好奇の目。たくさんの目。それから「柏木さん!大丈夫!?」「先生!柏木さんが!」「また倒れたの?柏木さん」「うちらのせいでごめんね!大きい声出したから」「どうして倒れたん?」「音なんかで倒れちゃうんだよ!柏木さんは!」同情の声。呆れている声。好奇の声。たくさんの声。分かっていたはずなのに。聞こえなくなれ。必死にそう願っている。
ノートを置いた翌々日の朝。美術室へ立ち寄るとまたノートに返事があった。
「名前も知らない君へ
交換ノートへのお返事嬉しかったです。僕の好
きなことは、「彩」を見つけることです。よく分
からないことを言っている自覚はあるんですけど
ね笑ただ「彩」を見つけることができればその
「彩」が僕の一部になってくれる気がするん
すよ。これから、あなたのことはなんと呼べば
良いですか?」
「彩」を見つける?「色」ではないのか?僕の一部になる…本当に不思議な人だな。ノートに線が引かれているのにはみ出てたり斜めってたりしている。
これから私のことをなんと呼べばいいのか、か。
羽、からとってウイングでもいいかな。そのときの私はまだ自覚していなかった。心のどこかでこのやりとりを楽しみにしていたということを。
その日の昼休み、雨が振っていたので教室でクリームパンを頬張っていた。頭の痛みとそれから目眩を誤魔化すように。耳栓を付けているのがしんどくなって外したその瞬間、「アハハハハッ」「バンバンバン」高い女子生徒の笑い声、男子生徒の机を叩く音がした。視界が暗くなった。あぁ、いつものか。薄れていく意識であくまで冷静にそんな思っていた。………………バタンッ……
…ふぅ…まだ曖昧な視界と脳みそを使ってどんな状況なのかを必死に考えた。失神した自分。その自分を囲んでいるたくさんのクラスメイト。同情の目。呆れている目。好奇の目。たくさんの目。それから「柏木さん!大丈夫!?」「先生!柏木さんが!」「また倒れたの?柏木さん」「うちらのせいでごめんね!大きい声出したから」「どうして倒れたん?」「音なんかで倒れちゃうんだよ!柏木さんは!」同情の声。呆れている声。好奇の声。たくさんの声。分かっていたはずなのに。聞こえなくなれ。必死にそう願っている。
