ミクちゃんの恋を応援することになったのもあり、あたし達は学校近くのマックで作戦を立てていた。
大好きなダブチを頬張ると、肉汁が口の中にじゅわって広がって幸せな気分になる。それからシェイクの一口目を飲んだ時が人生で一番の幸せを感じる。こういう時間って、本当に花のJKって言われる束の間を生きているよねって感じになる。
……おっといけない。食べてばっかりじゃなくて作戦についても話さなくちゃ。あんまり気は進まないけど。
遠慮がちなウサギみたいにポテトを齧るミクちゃんを前に本題へ入る。
「それで、レオを呼び出して告白すればいいって感じ?」
「うん、だけど何もしないで上手くいくとは思えないんだよね」
自信なさげに視線を落とすミクちゃん。かわいい。そのまんま好きって言っちゃえば上手くいく気しかしないけどなって思ったけど黙っておく。
「ミクちゃんはどうしようと思ってるの?」
「わたしも色々調べたんだけどさ、吊り橋効果って聞いたことある?」
「ああ、あるね。同じ吊り橋を二人で渡ると不安のドキドキを恋のドキドキと勘違いしちゃうっていうアレでしょ?」
「そうそう。レオ君ってそんなにチャラチャラした感じでもないんだけどさ、何て言うか、女の子に慣れている感じっていうの?」
「ああ、まあ実際に慣れてはいるよね」
「そう、だから普通に好きですって言っても『またか』ってなると思うんだよね」
一理ある。レオはイケメンでサッカー部のエースってわけで、それでいて性格もいい。だから放っておいても女の子の方から誘蛾灯に突っ込んでいく虫みたいに告白しにいってはバチっとやられている感じがしなくもない。
ミクちゃんはあたしの思考を読んだみたいに続ける。
「それでさ、普通にやったらダメなら、吊り橋効果を使えばいいんじゃないかと思ったの」
「考えたね。それで、文字通り一緒に吊り橋でも渡るの? あんまり想像が出来ないんだけど」
「そこなんだよね。なんか二人でドキドキするようなイベントってないかな?」
「う~ん、あえて言えば一緒にジェットコースターに乗るとか、わりとハードなお化け屋敷に行くとか?」
「そうなんだよね。だけどさ、それって普通、付き合ってる人同士で行くもんだよね。自慢じゃないけど、わたしって陽キャってガラでもないし」
「ああ、まあ……」
あたしは「そうだね」って言うわけにもいかなくて、ちょっと返答に困る。
そうか、たしかに付き合ってないと二人きりで遊園地なんて行かないもんね、普通は。どうしよう、いきなり手詰まりになっちゃった。沈黙するのが気まずくて、あたしはシェイクをズズっと飲む。
もう少し勉強しておけば、もっといい提案でも出来たのかなって思ったけど、勉強したところであたしの求めている恋の方程式が解けるわけじゃないしなぁ。
沈黙するのが気まずくて、思い付きを口にしてみる。
「肝試し、とか」
自分で言ってから、なかなかナイスなアイディアを思いついたなって思う。
肝試しならいかにも青春イベントって感じだし、友達同士でも遊園地よりはハードルが低い。やり方はともかくとして、そこで本当にドキドキするような仕込みをやっておけば本当に吊り橋効果が生まれるかもしれない。
「いいね、それ」
ミクちゃんもあたしのアイディアに手ごたえを得たみたいだった。なんだか複雑な気がしないでもないんだけど、親友が喜んでくれるのは素直に嬉しいかも。
「でも、ここいらに心霊スポットってあったっけ?」
「あーたしかに」
ミクちゃんの指摘通り、あたしらの住んでいるあたりにめぼしい心霊スポットがあるというのは聞いたことがない。いや、それはいいことではあるんだけど、作戦を遂行するにあたってはちょっと困るというか。
そんな時、またあたしの中に無責任な思い付きアイディアが降りてくる。
「心霊スポットがないなら、作っちゃえば良くない?」
「作るっていうのは?」
「ほら、ああいうのってネットとか、情報の出自がよく分からないやつばっかりじゃん。だからさ、そういうネットの噂みたいな感じでSNSに捨てアカで心霊スポットをでっち上げちゃえばいいんじゃないかな」
「いいアイディアだけどさ、そんなことやって大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。別に誰かが傷付くわけじゃないし」
自分で言いながら、思い付きが形になっていく。
「それじゃあさ、これから心霊スポット的な話をでっち上げてさ、三人で肝試しに行こ。なんならあたしがお化け役をやってもいいし」
レオを脅かしているところを想像すると、思わず笑いがこみ上げてくる。うん、いいぞ。これはやったら相当に面白そう。こういう時だけ湧き出るみたいにアイディアが出てくるのは何なんだろう。
「まだ形は分からないけどさ、すぐに段取りを決めていこうよ。もうちょっと寒くなったら肝試しって季節でもなくなっちゃうし」
「そう……だね。ありがとう、リホちゃん。なんか分かんないけど、上手くいきそうな気がしてきたよ」
「でしょう? あたしに全部任せておいてよ、絶対に盛り上げるからさ」
とは言ったものの、具体的に何をするかはまだ全然考えていない。
まあいいや。勢いでやったとしても、レオにはあたし達の作戦を見破る頭なんかないでしょ。
上手くいくかどうかはともかくとして、好きな人といかにも高校生活の思い出っぽいイベントが出来るのはいいよね。だからこそ、悔いの残らないように精一杯やっていこう。きっとそうやって全力で取り組むことに意味があるんだから。
大好きなダブチを頬張ると、肉汁が口の中にじゅわって広がって幸せな気分になる。それからシェイクの一口目を飲んだ時が人生で一番の幸せを感じる。こういう時間って、本当に花のJKって言われる束の間を生きているよねって感じになる。
……おっといけない。食べてばっかりじゃなくて作戦についても話さなくちゃ。あんまり気は進まないけど。
遠慮がちなウサギみたいにポテトを齧るミクちゃんを前に本題へ入る。
「それで、レオを呼び出して告白すればいいって感じ?」
「うん、だけど何もしないで上手くいくとは思えないんだよね」
自信なさげに視線を落とすミクちゃん。かわいい。そのまんま好きって言っちゃえば上手くいく気しかしないけどなって思ったけど黙っておく。
「ミクちゃんはどうしようと思ってるの?」
「わたしも色々調べたんだけどさ、吊り橋効果って聞いたことある?」
「ああ、あるね。同じ吊り橋を二人で渡ると不安のドキドキを恋のドキドキと勘違いしちゃうっていうアレでしょ?」
「そうそう。レオ君ってそんなにチャラチャラした感じでもないんだけどさ、何て言うか、女の子に慣れている感じっていうの?」
「ああ、まあ実際に慣れてはいるよね」
「そう、だから普通に好きですって言っても『またか』ってなると思うんだよね」
一理ある。レオはイケメンでサッカー部のエースってわけで、それでいて性格もいい。だから放っておいても女の子の方から誘蛾灯に突っ込んでいく虫みたいに告白しにいってはバチっとやられている感じがしなくもない。
ミクちゃんはあたしの思考を読んだみたいに続ける。
「それでさ、普通にやったらダメなら、吊り橋効果を使えばいいんじゃないかと思ったの」
「考えたね。それで、文字通り一緒に吊り橋でも渡るの? あんまり想像が出来ないんだけど」
「そこなんだよね。なんか二人でドキドキするようなイベントってないかな?」
「う~ん、あえて言えば一緒にジェットコースターに乗るとか、わりとハードなお化け屋敷に行くとか?」
「そうなんだよね。だけどさ、それって普通、付き合ってる人同士で行くもんだよね。自慢じゃないけど、わたしって陽キャってガラでもないし」
「ああ、まあ……」
あたしは「そうだね」って言うわけにもいかなくて、ちょっと返答に困る。
そうか、たしかに付き合ってないと二人きりで遊園地なんて行かないもんね、普通は。どうしよう、いきなり手詰まりになっちゃった。沈黙するのが気まずくて、あたしはシェイクをズズっと飲む。
もう少し勉強しておけば、もっといい提案でも出来たのかなって思ったけど、勉強したところであたしの求めている恋の方程式が解けるわけじゃないしなぁ。
沈黙するのが気まずくて、思い付きを口にしてみる。
「肝試し、とか」
自分で言ってから、なかなかナイスなアイディアを思いついたなって思う。
肝試しならいかにも青春イベントって感じだし、友達同士でも遊園地よりはハードルが低い。やり方はともかくとして、そこで本当にドキドキするような仕込みをやっておけば本当に吊り橋効果が生まれるかもしれない。
「いいね、それ」
ミクちゃんもあたしのアイディアに手ごたえを得たみたいだった。なんだか複雑な気がしないでもないんだけど、親友が喜んでくれるのは素直に嬉しいかも。
「でも、ここいらに心霊スポットってあったっけ?」
「あーたしかに」
ミクちゃんの指摘通り、あたしらの住んでいるあたりにめぼしい心霊スポットがあるというのは聞いたことがない。いや、それはいいことではあるんだけど、作戦を遂行するにあたってはちょっと困るというか。
そんな時、またあたしの中に無責任な思い付きアイディアが降りてくる。
「心霊スポットがないなら、作っちゃえば良くない?」
「作るっていうのは?」
「ほら、ああいうのってネットとか、情報の出自がよく分からないやつばっかりじゃん。だからさ、そういうネットの噂みたいな感じでSNSに捨てアカで心霊スポットをでっち上げちゃえばいいんじゃないかな」
「いいアイディアだけどさ、そんなことやって大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ。別に誰かが傷付くわけじゃないし」
自分で言いながら、思い付きが形になっていく。
「それじゃあさ、これから心霊スポット的な話をでっち上げてさ、三人で肝試しに行こ。なんならあたしがお化け役をやってもいいし」
レオを脅かしているところを想像すると、思わず笑いがこみ上げてくる。うん、いいぞ。これはやったら相当に面白そう。こういう時だけ湧き出るみたいにアイディアが出てくるのは何なんだろう。
「まだ形は分からないけどさ、すぐに段取りを決めていこうよ。もうちょっと寒くなったら肝試しって季節でもなくなっちゃうし」
「そう……だね。ありがとう、リホちゃん。なんか分かんないけど、上手くいきそうな気がしてきたよ」
「でしょう? あたしに全部任せておいてよ、絶対に盛り上げるからさ」
とは言ったものの、具体的に何をするかはまだ全然考えていない。
まあいいや。勢いでやったとしても、レオにはあたし達の作戦を見破る頭なんかないでしょ。
上手くいくかどうかはともかくとして、好きな人といかにも高校生活の思い出っぽいイベントが出来るのはいいよね。だからこそ、悔いの残らないように精一杯やっていこう。きっとそうやって全力で取り組むことに意味があるんだから。



