「赤羽、お前今日誕生日だったな」
「えっ、憶えていてくださったんですか!?」
「好きなネタをどんどん頼め、酒も飲んでいいぞ」
「うわーん、ありがとうございますぅ! 一生ついて行きますっ」
「よかったですね、赤羽さん」
「うんっ、嬉しくて泣けてきちゃう」
歓喜する赤羽と主人らしい皇牙の間に挟まれながら、日奈子は寿司を箸で食べる。
人生初の回らない寿司は大好物だらけで、脂がたっぷり乗った大トロやエンガワは、口に入れた瞬間とろけるような食感だった。
アワビやウニ、カニや白子など食べ慣れないものも入っていたが、どれも美味しく歯応えが面白くて、何をしに来たのかわからなくなる。
「ここのお寿司、メッチャクチャ美味しいですねー」
「でしょー、皇牙様と日奈子ちゃんは豪華寿司を食べられるからますますいいよね。あ、でもヴィーガン寿司も美味しいの。三回に一回はお寿司食べたいのよ僕はー」
「わかりますー、私も三回に一回はお寿司食べたくなっちゃいました」
「日奈子がそんなに寿司が好きだとは知らなかったな、今度銀座に食いにいこう」
「銀座ですか? 回転してるお寿司しか食べたことない私には贅沢過ぎますよ」
「ここの味がわかるなら十分だ。銀座でも小樽でも、どこでも連れて行ってやる」
「小樽? まさか、お寿司を食べるためだけに飛行機に乗るんですか?」
「新幹線グランクラスで北上するのもいいぞ、優雅な船旅もいい。お前が一番好きな移動方法で行こう」
「皇牙さんたら冗談ばっかり」
「いや、俺は冗談なんて何も……」
「あ、この茶碗蒸し海鮮なんですね、美味しそう。こんな豪華な茶碗蒸し初めて」
「お前が作る茶碗蒸しも旨いぞ」
「皇牙さんは鶏肉が好きですもんね、特に皮つきのモモ肉がお好きですよね」
「よくわかるな」
「はい、毎日見てますから」
