この妹に……常に自分より上に立って物を言ってくる妹に、どうしても抗いたい。
「結衣花、私の能力のこと忘れたの?」
「……は? 能力?」
「全部聞こえてるよ。私のこと『シンデレラ気取りのブス、死ねばいいのに』なんて思ってるのに、帰ってきてなんて言わないで」
「──っ、心を読むのやめてよ、薄気味悪い! 誰だって裏表はあるでしょ!」
逆切れした結衣花は、「この疫病神!」と怒鳴りながら手を振り上げる。
引っ叩かれると思った。
咄嗟に手で顔を庇う。
「日奈子ちゃん!」
その時カフェテリアの扉が開き、D4の赤羽の声が聞こえてきた。
さらに続いて、「日奈子ちゃん!」「日奈子ちゃん!」「日奈子ちゃん大丈夫!?」と、D4全員が雪崩れ込んでくる。
結衣花は慌てて手を引き、歪んだ笑顔で取り繕った。
四人はすぐ傍まで駆けつけてくれて、日奈子をガードする態勢を取る。
それをとても心強く感じながら、日奈子は椅子から立ち上がった。
「結衣花、私の答えは変わらないから。もうここには来ないで」
「お姉ちゃん……っ、私達ほんとに困ってるのよ。パパもママもお姉ちゃんの帰りを待ってるんだよ。家族なのに助けてくれないの?」
殊勝な顔をして訴える結衣花に、日奈子は「うん」と短く返事をする。
結衣花はもう怒鳴ることはなかったが、心ではうるさいほど喚いていた。
