前座として巨大な草食恐竜同士の戦いや翼竜プテラノドンによる滑空ショーもあり、面白いなぁ……と思って観ていると、ようやく皇牙が登場した。
スタジアムが揺れそうな勢いで観客がヒートアップする。
今夜のバトルフィールドは東京郊外にある廃校の校庭だ。
幽霊でも出そうな雰囲気の校舎がライトアップされ、闇にぽっかりと浮いている。
巨大な画面いっぱいに映された皇牙の正面顔があまりにも綺麗で、日奈子は思わず「うわぁ……」と声を漏らしてしまった。
こうして見るとやはり皇牙は大スターだ。画面の中でも輝いている。
こんな凄い人の夕食を自分が毎日作っているなんて、信じられない気持ちだった。
──今日はお弁当まで作らせてもらったし……試合前の食事なんて責任重大。あ、もうとっくに食べてるよね……ちゃんと美味しかったかな?
日奈子が感動している間に選手紹介が終わり、画面が二分割される。
この試合で皇牙に割り振られたカラーは赤だった。
赤い虹彩に似合う赤が基調の左の画面に、皇牙の名前と顔のアップが表示される。
そしてゴングが鳴った。
皇牙は周囲の空気を引き寄せ、水分を細胞に取り込んでいく。
衣服が一瞬で弾け飛び、無駄のない皇牙の輪郭は一気に膨らんで歪んだ。
小さかった顔がとんでもなく大きくなったかと思うと、メキメキ、ビキビキと鳴る音と共に恐竜の顔へと変化していく。
人間の目だったものが爬虫類特有の目に変わった頃にはもう、ティラノサウルス・レックスが出来上がっていた。
──凄い……本当に恐竜になっちゃった!
わかってはいたけれど、最初からしっかり見ることで改めて実感する。
普段いくら人間的に振る舞っていても、皇牙はやはり人間ではない。竜人なのだ。
そして自分の体にも竜人の血が流れていて、先祖返りならではの少々厄介な能力を持っていたりする。
──皇牙さんは竜人、私も竜人……。
同じ種族であることが、なんだか嬉しくてたまらなかった。
自分の血に感謝したい。彼のチームの一人になれて本当によかった。
両者の変容が完全に終わると、これまで二分割されていた画面が一つになった。
