日奈子は皇牙と一緒に部屋を出てD4と合流し、寮のエントランスで見送りをする。
ダイナ・リーグ・ジャパンの専用バスが寮の前までやって来て、「じゃあ」と軽く手を振る皇牙を乗せて行った。
夕方になると皇牙が所有しているキャンピングカーが迎えにくる。
日奈子は綾人とD4と一緒に、竜王スタジアムに向かった。
車内でダイナ・リーグ公式ブックレットを開き、今日の対戦相手のプロフィールを確認する。
相手は九州の王者と呼ばれているティラノサウルス・レックスで、九州地方では負け知らずの竜人だ。
身長や体重は皇牙とほとんど変わらなかった。
かつてはダイナ・リーグに興味を持っていなかった日奈子だが、今では専門雑誌を読むこともあるほどダイナ・リーグに詳しくなっている。
竜王スタジアムの空気を吸うのも観戦するのも、B級グルメも楽しみだった。
ブックレットをパラパラ捲ると、巻頭で扱われているスター選手の情報が目に飛び込んでくる。
もちろん皇牙もその一人だ。
皇牙のページよりさらに前にいるのが皇牙の両親で、父親の皇一郎と母親の玲華がトップ選手として扱われている。
「日奈子ちゃんも、もうすっかり恐竜女子だね」
「いえいえ、まだ全然……恐竜の見分けもつかないし、ほんとに全然駄目です」
選手の名前は覚えられても、恐竜の種類が多過ぎて記憶できない日奈子は、赤羽の言葉に恐縮した。
ダイナ・リーグを好む女性は、恐竜女子やダイナ女子などと呼ばれるが、日奈子は親友のルナレベルに詳しくないと駄目だと思っている。
容姿端麗で御曹司の皇牙にしか興味がない結衣花などは、日奈子の基準では本物の恐竜女子とは言えないのだ。
恐竜の姿も愛してこそ恐竜女子。
自分もいつか堂々と「恐竜女子です」と言えるようになりたい。
日奈子は玲華のページを見たあとに皇牙のページに戻り、二人の顔を見比べた。
雌のティラノサウルス・レックスに変容できる竜王院玲華は、女性としてはとても背が高くスタイルのよい美人で、皇牙をそのまま女性にしたような顔をしている。
