「皇牙くんほんと強くてさー、相手が格下だからハンデ戦だったんだけど、そんなの物ともしない感じで、圧倒的だったなー……もう何回も観ちゃった」
「うんうん」
ルナはダイナ・リーグが大好きで、特に竜王院皇牙と、その父親の皇一郎、そして母親の玲華のファンだ。
日奈子はダイナ・リーグに興味がなく、まともに観たことが一度もないが、ルナの影響でその三人のスター選手だけは顔と名前を認識している。
ルナは結衣花と違ってファンであることを隠していないので、鞄に堂々とティラノサウルス・レックスのフィギュアやぬいぐるみをぶら下げていた。
ルナ曰くわりと珍しいタイプのファンで、人間の姿より恐竜に変容した姿のほうが好きらしい。
「ねえ今度スタジアム一緒に行こうよ。大型の恐竜はいないけど、小さめの恐竜なら本物がいるしさ、握手できるから」
「恐竜と握手かー」
「化石じゃないんだよ、本物の生きてる恐竜と握手。よく考えると凄くない?」
「よく考えなくても凄いよね……それはわかってる」
「日奈子が興味ないのは知ってるけど、一回はちゃんと観てほしいんだよね、それも竜王スタジアムで。大迫力で楽しいよー、売店も充実してて美味しいものがいっぱいあるし」
「一回とか言いつつハメようとしてるでしょ」
「ハマると思うんだよねー」
「ハマらないって」
「何ならハマるの?」
「えー……うーん、爬虫類よりはモフモフが好きかなー」
「普通過ぎる」
「普通でいいもん」
くすくす笑っているうちに始業時間が来て、日奈子は「またね」とルナと別れる。
朝のホームルームのために、担任教師が教室に入ってきた。
今日は欠席者もなく、ホームルームは何事もなく終わる。
しかしそのあと一限目が始まり、担任に代わって数学の教師が現れると、いきなりノイズが襲ってきた。
