「……え?」
人の心が読めると言われて、思わずびくっと弾けてしまった。
支えてくれていた皇牙が驚くくらい大きな反応をしてしまい、日奈子は慌てる。
異能力のことは小学校低学年の頃にルナに告白したのが最後で、それ以降は誰にも話さなかった。言えば気味悪がられるか、頭がおかしいと思われるだけだ。
けれども今は違う。
話すべき相手、話すべき時なのだと思った。
「私、人の心が読めます。凄く強いネガティブな感情だけなんですけど……頭の中に突然、近くにいる人の声が届くんです。生まれた時からそうなんですけど、これって、竜人の先祖返りだったからなんでしょうか?」
「草食竜人のテレパシーだ」
「草食竜人のテレパシー?」
自身の能力の解明を求めて鸚鵡返しにした日奈子に、皇牙はこくりと頷く。
日奈子の体を支えながら、「生きるための能力だ」と答えてくれた。
「生きる、ための?」
「敵意を逸早く察して身を守るための、生存本能だと言われている」
「生存本能……そ、そう……だったんですか」
今まで考えたこともなかった答えを与えられ、日奈子はこれまでの人生を走馬灯のように思い返す。
要らない能力だと思ってきた。疎ましく厄介で、頭痛を引き起こす最悪な能力だと嫌ってきた。でも、一方でよい面もあった。自分に向けられる他人の悪意が筒抜けになってしまうのはつらいけれど、上辺の笑顔に騙されなくて済む。
自分を嫌っている人とは、当たり前に距離を置いてきた。
家族以外とは速やかに離れることができたのだ。
その点だけはよかったと思っている。
「お前はこれまで本当につらい目に遭ってきたんだな」
「いえ、私に対して悪意を持ってる人とはかかわらずに済んだので、この力があってよかったのかもしれません」
「日奈子、この先もしお前に悪意を向ける奴がいたら、それが誰であっても遠慮なく言え。俺が必ず排除してやる」
「皇牙さん……」
