朝、登校するために家を出ると、駐車場の前に男子生徒がたむろしていた。
いつも同じ四人で、同級生の日奈子を見るとがっかりした顔をするのがお約束だ。
彼らが待っているのは妹の結衣花だった。
結衣花の鞄を持ちつつ一緒に登下校するのが彼らの日課らしい。
結衣花が家から出てくると、ぱっと輝くような笑顔で迎える。
「結衣花ちゃん、おはよう!」
「おはよう!」
日奈子のすぐあとに出てきた結衣花は、今日も完璧な髪型で天使のように微笑む。
男子生徒の一人が「今日は俺が鞄持つから」と誇らしげに手を差しだした。
結衣花は家の中でこそ「皇牙様と結婚する」などと夢のようなことを言っているが、竜王院皇牙の大ファンであることは隠して現実的な男子を侍らせている。
人間の男子の多くは竜人男子にコンプレックスがあるので、皇牙のファンなどとは口が裂けても言えないらしい。
日奈子と結衣花が通っている高校は私立の一貫教育校で、余程成績が悪くない限り大学までエスカレーター式に行ける。
受験らしい受験はないため、生徒達は高校三年生になってものんびりしていた。
大学に行きたい気持ちよりも早く家を出たい気持ちが上回る日奈子は、進学しないつもりで高校に通っている。
本当はアルバイトをして家を出るための資金を稼ぎたいが、親から「お金がないと思われたくない」という理由でアルバイトを禁止され、大学に関しても「結衣花だけ行かせると世間体が悪い」という理由で進学するよう言われていた。
「日奈子、おはよう」
登校して教室に入ると、幼馴染で親友の滝沢ルナが迎えてくれる。
ルナはさっぱりしたショートカットで背が高く、そのうえ端正な顔をしているので、他の女子から王子様扱いされている。
学校は強くネガティブな感情の吹き溜まりなので苦手だったが、ルナに会えることだけは楽しみだった。
「おはよう」
自分の席に向かうより先にルナの席まで行くと、「ねえ、昨日の試合観た?」と身を乗りだすようにして訊かれる。
「ごめん、観てない。あ、でも……ルナの推しが勝ったのは知ってるよ」
「観てないか、だよねー……訊くまでもなかったわ。そう、勝ったんよ」
「よかったね」
いつも同じ四人で、同級生の日奈子を見るとがっかりした顔をするのがお約束だ。
彼らが待っているのは妹の結衣花だった。
結衣花の鞄を持ちつつ一緒に登下校するのが彼らの日課らしい。
結衣花が家から出てくると、ぱっと輝くような笑顔で迎える。
「結衣花ちゃん、おはよう!」
「おはよう!」
日奈子のすぐあとに出てきた結衣花は、今日も完璧な髪型で天使のように微笑む。
男子生徒の一人が「今日は俺が鞄持つから」と誇らしげに手を差しだした。
結衣花は家の中でこそ「皇牙様と結婚する」などと夢のようなことを言っているが、竜王院皇牙の大ファンであることは隠して現実的な男子を侍らせている。
人間の男子の多くは竜人男子にコンプレックスがあるので、皇牙のファンなどとは口が裂けても言えないらしい。
日奈子と結衣花が通っている高校は私立の一貫教育校で、余程成績が悪くない限り大学までエスカレーター式に行ける。
受験らしい受験はないため、生徒達は高校三年生になってものんびりしていた。
大学に行きたい気持ちよりも早く家を出たい気持ちが上回る日奈子は、進学しないつもりで高校に通っている。
本当はアルバイトをして家を出るための資金を稼ぎたいが、親から「お金がないと思われたくない」という理由でアルバイトを禁止され、大学に関しても「結衣花だけ行かせると世間体が悪い」という理由で進学するよう言われていた。
「日奈子、おはよう」
登校して教室に入ると、幼馴染で親友の滝沢ルナが迎えてくれる。
ルナはさっぱりしたショートカットで背が高く、そのうえ端正な顔をしているので、他の女子から王子様扱いされている。
学校は強くネガティブな感情の吹き溜まりなので苦手だったが、ルナに会えることだけは楽しみだった。
「おはよう」
自分の席に向かうより先にルナの席まで行くと、「ねえ、昨日の試合観た?」と身を乗りだすようにして訊かれる。
「ごめん、観てない。あ、でも……ルナの推しが勝ったのは知ってるよ」
「観てないか、だよねー……訊くまでもなかったわ。そう、勝ったんよ」
「よかったね」
