恐竜王の花嫁


「ああ、是非そうしてくれ」
「はい、頑張りますっ」
 日奈子が目を潤ませながら言うと、D4が揃って拍手をしてくれる。
 明るい四人の仲間にしてもらえた気がして、それも嬉しくてたまらなかった。
 ようやく手に入れた自分の居場所は、想像もしていなかったほど素敵で眩しくて、涙が一粒落ちてしまう。
「……ぅ、っ」
「泣く奴があるか」
 皇牙はそう言って笑うと、ハンカチを差しだしてくれた。
 すべてが勿体なくて仕方なかったが、日奈子は「すみません」とハンカチを借りて、そっと涙を吸わせる。
 皇牙のハンカチはいい香りがして、彼に抱き締められた時のことを思いだした。
 自分は皇牙の生餌になったのだ。
 健康的で美味しい血を捧げるのが、これからの自分の役目だ。
 日奈子は意を決すると、皇牙の顔を真っ直ぐに見上げる。
「皇牙さん、お願いがあります」
「──ん? なんだ? 足りない物があったか?」
「いえ、十分過ぎます。でも私……何もしてないのにこんな凄いところに住み始めるなんて申し訳なくて……できないので、お差し支えなければ、今から……今から私の血を吸ってくれませんか?」
 日奈子の申し出に、皇牙はびっくりした様子で目を見開く。
 しかし悪い感触ではなかった。
 皇牙の表情は喜色に彩られていて、普段よりも一層光り輝いて見える。
「差し支えなどあるはずもない。けど……いいのか? 今日はあちこち行って疲れただろう? しかも採血したばかりだ」
「疲れてません、全然大丈夫です! これ以上ないくらい元気なので、皇牙さんさえよかったら血を吸ってください。採血なんてほんのちょびっとだったから大丈夫です。吸ってくれないと私、こんな贅沢な部屋で寝れません」
「日奈子……わかってるのか? 俺はいつだって美味い血を求めてる。そんなふうに言われたら遠慮しないぞ」
「はい、お願いします!」
 日奈子が一礼すると、D4が「決まりだね」と拍手をする。