続くダイニングにはバーズアイメープルのテーブルと果物があり、オープンキッチンには三口コンロ──それもシンプルで美しいガラストップのIHコンロだった。
家電も瀟洒なデザインの新しい物ばかりで、すべてが日奈子の憧れそのものだ。
「凄い……っ、三口コンロ、憧れてたんです」
「一番感激するとこ、そこ?」
赤羽に笑われながらも、日奈子は何よりキッチンに興奮してしまう。
シンクも広々としているうえに、ビルトインの食洗機も完備されていた。
収納棚にはピンク色を中心としたカラフルな食器が並んでいて、料理本を置くのに丁度いいスペースもある。
「ここに本を置いてもいいですか?」
皇牙に訊くと、「もちろん」と笑顔が返ってくる。
実際に自分の物を置いたことで、自分の部屋、自分の城という意識が強まった。
リビングの隣の扉の先には独立したベッドルームが広がっていて、まるでホテルのスイートルームのようだった。
さらに驚いたのはクローゼットで、これまで暮らしていた自分の部屋よりも広く、すでにたくさんの洋服や靴が用意されている。
「う、わ……ぁ、人気ブランドの服がいっぱい」
「四人で竜王百貨店に行って、外商さん巻き込んで買い漁りましたー」
「女の子の服や靴は可愛いのいっぱいあるから、大人買いできて最高だったよ」
「女の子を迎えるなんて初めてのことだけど、たぶん大丈夫。ジュエリーもいろいろ用意したし、もちろん制服や授業で使うテキストなんかも揃えてあるからね」
「うちの制服可愛いから、日奈子ちゃん絶対似合うと思う」
「──凄い……凄過ぎます……あの、本当にここに、住んでいいんですか? こんな高そうな新品のお洋服とか、本当に着ていいんですか?」
日奈子は両手を口元に当てながら、「夢みたいで、信じられなくて」と呟く。
歓喜のあまり涙腺がおかしくなって、声も震えて涙声になってしまった。
「お前はもう、誰かの顔色を窺って暮らさなくてもいいんだ。好きな服を着て好きな料理をして、自由に過ごせばいい。俺からの条件はただ一つ──四週間に一度、血を吸わせてくれ。あとは……そうだな、なるべく俺の目の届くところにいろ」
「はい。私、生餌として、皇牙さんのお役に立てるよう頑張ります。健康を心掛けて毎日しっかり食べて、いい血を……っ」
