強烈なドラムビートがフロア全体にも流れていたが、エレベーター内よりはだいぶ静かだった。
「日奈子ちゃん、そろそろお腹空いてるよね? フレンチのフルコースと、お寿司、あとは売店で売ってるB級グルメがあるんだけど、どれがいい?」
「あ、えぇ……と、皆さんと同じ物で」
赤羽に訊かれて答えると、四人衆が声を揃えて「駄目駄目」と首を横に振る。
「今日は日奈子ちゃんが主役なんだから、日奈子ちゃんの好きな物を皆で食べるの。皇牙様、そうですよね? 僕の判断、間違ってませんよね?」
赤羽に問われ、皇牙は「間違ってないな」と皮肉っぽく笑った。
「日奈子、遠慮なく選んでくれ。決められないなら全部でもいい」
「い、いえ、そんな……とんでもないです」
遠慮なくと言われても遠慮せずにはいられない日奈子は、少し考えてから「あの、B級グルメでもいいですか?」と訊いてみる。
一番安上りだからというのもあったが、ルナが「売店も充実してて美味しいものがいっぱいある」と言っていたのが決め手だった。
せっかくなら、ルナと同じ物を食べてみたい。
「B級グルメだな、わかった」
皇牙は嫌な顔一つせずに承知し、緑木と黄山が「早速買いだし行ってきまーす」と場を離れた。
「ま、同じ物を食べるって言っても僕達はヴィーガンなんで、まったく同じとはいかないんだけどね」
「え、ヴィーガンって……ベジタリアンよりも厳しいやつ、ですか?」
「そうそう、それ。草食竜人だからって肉や魚を食べられないわけじゃないんだけど、皇牙様のお口に合うように草食を徹底してるの。そのほうがクリアなお味になって、より一層美味しいんだって」
「生餌って大変なのよー」
「……ということは、私も? 私もヴィーガンにならなきゃいけないんですか?」
「いや、そんなことはない」
不安になった日奈子に、皇牙は「心配しなくていい」と言って肩を抱いてくる。
席に案内しながら、「アタヴィズムの日奈子は、ほぼ人間だからな……それだけで十分美味いんだ」と説明された。
「本当に、本当にいいんですか?」
「大丈夫。これからも好きな物を食べればいい」
