綺麗なリボンが掛かっているそれを、皇牙はしゅるっと解いて日奈子に向ける。
音もなく開かれた箱には、大粒のダイヤモンドが煌めく指輪が入っていた。
婚約指輪だとすぐにわかって、日奈子は感激のあまり動けなくなる。
「日奈子、改めて言う。今すぐじゃなくてもいいから俺と結婚して、恐竜王の花嫁になってくれ」
「皇牙さん……」
はい──そう答えたいのに、感極まって言葉がすぐには出てこない。
日奈子は高鳴る鼓動を感じながら、自分の胸に手を当てた。
一度訊いてみたいことがあったので、今こそ訊こうと思う。
「あの……ちょっと訊きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「もちろんだ」
「皇牙さんは、私のどこをそんなに気に入ってくれたんですか?」
つい「私なんかのどこを……」と言いそうになった日奈子は、卑屈にならないよう注意して訊いてみた。
皇牙は小さく笑って、日奈子の顔をじっと見つめる。
「どこを……と言われると難しいな。全部ひっくるめて日奈子が好きだが、何よりも重視してるのは自分の気持ちだ」
「──自分の……気持ち?」
皇牙は日奈子の手を取ると、胸元へ引き寄せた。
行き着いた先は体の真ん中よりもやや左で、心臓の上だとわかる。
皇牙の心臓はトクトクと鳴っていた。
その音は少し速くて、日奈子の鼓動と重なる。
「お前をこうして見つめていると、心音が速くなる。ドキドキしてるんだ」
「──皇牙さんが、私に……ドキドキ、ですか?」
「初めての恋をしてる」
「──っ……」
「それを認めないわけにはいかなくて、お前に一生、生餌としてじゃなく妻として、一緒に生きてほしいと思ったんだ」
皇牙は少し照れ臭そうに言って、箱の中の指輪を手にした。
それを日奈子の左手に寄せ、薬指に通そうとする。
