恐竜王の花嫁


「僕は青沼(あおぬま)
「僕は緑木(みどりぎ)
「そして僕は黄山(きやま)です。髪色の通りなんだよ」
「あ、あぁ、なるほど……四色、なんですね」
「戦隊物みたいでしょー」
「皇牙様は偶然だって言ってるけど、絶対違うと僕らは思ってます」
「苗字で選ばれたに決まってるよね」
「覚えやすいと思ったのかも」
 四人衆はふふふと笑って、赤羽が「ピンクが入れば完璧ー」と握手を求めてくる。
 日奈子は戸惑いながらも赤羽と握手し、皇牙の顔をちらりと盗み見た。
 やはり目が輝いている。上機嫌なのは間違いない。
 表情が生き生きとしていて、宝物でも見つけたみたいな顔だった。
 視線の先にあるのは日奈子の膝で……わずかだが、新しい血が滲み出ていた。


 連れて行かれた先にあったのは、竜人専門の病院として有名な竜王病院だった。
 日本に住む竜人の大半は竜王グループが仕切っているということは、竜人にあまり詳しくない日奈子でも知っている。
 普通の人間なのにいいのかしらと思いつつ、日奈子は怪我の手当てを受けた。
 砂粒を洗い流された時は少し痛くて、夢なのか現実なのか疑わしくなる。
 しかし採血の際はまったく痛くなかったので、異様にリアルだがやはり夢なのかもしれないと思った。
 最上階の特別室に通されて六人で結果を待っている間、日奈子はさりげなく自分の頬をつねる。普通に痛かった。
 鞄の中のスマートフォンを取りだしてメッセージの有無を確認したいと思ったが、少し考えてからやめた。
 スマートフォンを手にした瞬間、目が覚めてしまう気がしたからだ。
 こんな馬鹿みたいに贅沢な夢を見るのは本意ではないものの、遺伝子検査の結果は気になる。
 もし今この瞬間に目覚めたら、映画を途中まで観て席を立ったような……しっくりしない気持ちになりそうだ。
 幸いそれほど待たされることはなく、しばらくして医師がやって来た。