皇牙と気持ちを確かめ合って幸せな眠りについた日奈子は、翌朝少し早く起床する。
フンフンと鼻歌を歌いながら朝食を作り、前夜のおかずを少し取っておいたものを弁当箱に詰めた。
登校時に酷い言葉が聞こえるのは相変わらずだが、昨日よりも強気でいられる。
皇牙が与えてくれた自信は強力な盾となって、日奈子を守っていた。
特に変わったことはなく四限目が終わり、日奈子は鞄から弁当箱を出そうとする。
座ったままごそごそとやっていると、個室の扉をノックする音が聞こえた。
また嫌な予感がする。綾香が来たらどうしようかと気構えた。
「御機嫌よう、日奈子さん」
勝手に扉を開けてずかずかと入ってくる綾香に、日奈子は「あ、どうも」と返す。
お嬢様ぶった挨拶をする綾香から『この女、本当に食い殺してやりたい!』という思念が届いていたので、「こんにちは」とすら言いたくなかった。
「昨日約束した件だけど、ちゃんと別れてくれたんでしょうね」
「……約束なんてしてませんし、別れてなんかいません。もちろん今後も別れる気はありません」
日奈子は立ち上がり、すらりと背の高い綾香と対峙する。
綾香は日奈子が皇牙に別れを告げると本当に思っていたようで、かっと目を見開き、信じられないものでも見るような目で睨みつけてきた。
今日もまた香水の匂いがする。
昨日ほど不快には感じなかったが、「私はいい女です」と言わんばかりの気取った匂いが鼻についた。
これからここで弁当を食べるので、香水の匂いが残らないうちに去ってほしいなと切実に思う。
綾香の匂いに包まれながら食べる弁当は、どう考えても不味そうだ。
「私、貴女に言ったわよね。身を引きなさいって、別れなさいって言ったわよね」
「──言ってましたけど、綾香さんの命令に従わなきゃいけない理由がないので」
「今日までに別れなきゃ殺すって、そう言ったはずよ」
今こうして話している間も、『殺してやる!』と殺意の念が聞こえてくる。
それでも日奈子は恐れなかった。
他人の死を願う呪いの言葉なら聞き慣れているし、本当に殺されることなどないとわかっているので、不愉快でも怖くはなかった。
「貴女、私のことをなめているのね」
フンフンと鼻歌を歌いながら朝食を作り、前夜のおかずを少し取っておいたものを弁当箱に詰めた。
登校時に酷い言葉が聞こえるのは相変わらずだが、昨日よりも強気でいられる。
皇牙が与えてくれた自信は強力な盾となって、日奈子を守っていた。
特に変わったことはなく四限目が終わり、日奈子は鞄から弁当箱を出そうとする。
座ったままごそごそとやっていると、個室の扉をノックする音が聞こえた。
また嫌な予感がする。綾香が来たらどうしようかと気構えた。
「御機嫌よう、日奈子さん」
勝手に扉を開けてずかずかと入ってくる綾香に、日奈子は「あ、どうも」と返す。
お嬢様ぶった挨拶をする綾香から『この女、本当に食い殺してやりたい!』という思念が届いていたので、「こんにちは」とすら言いたくなかった。
「昨日約束した件だけど、ちゃんと別れてくれたんでしょうね」
「……約束なんてしてませんし、別れてなんかいません。もちろん今後も別れる気はありません」
日奈子は立ち上がり、すらりと背の高い綾香と対峙する。
綾香は日奈子が皇牙に別れを告げると本当に思っていたようで、かっと目を見開き、信じられないものでも見るような目で睨みつけてきた。
今日もまた香水の匂いがする。
昨日ほど不快には感じなかったが、「私はいい女です」と言わんばかりの気取った匂いが鼻についた。
これからここで弁当を食べるので、香水の匂いが残らないうちに去ってほしいなと切実に思う。
綾香の匂いに包まれながら食べる弁当は、どう考えても不味そうだ。
「私、貴女に言ったわよね。身を引きなさいって、別れなさいって言ったわよね」
「──言ってましたけど、綾香さんの命令に従わなきゃいけない理由がないので」
「今日までに別れなきゃ殺すって、そう言ったはずよ」
今こうして話している間も、『殺してやる!』と殺意の念が聞こえてくる。
それでも日奈子は恐れなかった。
他人の死を願う呪いの言葉なら聞き慣れているし、本当に殺されることなどないとわかっているので、不愉快でも怖くはなかった。
「貴女、私のことをなめているのね」
