常に絵になる皇牙を見ていると、インテリア雑誌の撮影現場に迷い込んだような、不思議な感覚だった。
「英会話の教師、早速手配しておいた」
「え、もう手配してくれたんですか? ありがとうございます」
「来週の月曜から平日に週三回、夕食後に二時間でどうだろう? 多過ぎるか?」
「多過ぎません。週三回も見てもらえるなんて助かります。全然喋れない状態からのスタートですけど、頑張ります」
「頑張り過ぎない程度に頑張ってくれ」
「はい」
日奈子は皇牙が夕食後にレッスン時間を設定してくれたことが嬉しくて、気持ちがほくほくと温まるようだった。
おそらく夕食は今まで通り一緒に食べたいと思ってくれているのだろう。
料理の腕を認めてもらえることや、綾人を含む三人で食卓を囲む習慣を続けられることが嬉しかった。
「ところで皇牙さん、試合で怪我をしてましたよね。大丈夫なんですか?」
「ああ、俺は再生能力が高いほうで……」
皇牙は怪我をした肩をちょんと指で差しつつ言ったが、ふと何か思いついたように悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「それでも少しは痛いんだ」
「えっ、肩が痛いんですか?」
「ちょっとだけどな。日奈子が膝枕をしてくれたら、もっと早く治るかもしれない」
「……膝枕?」
ああ、これは仮病だな──と直感的にわかった日奈子は、だからこそ余計に皇牙のリクエストが嬉しくなった。
彼は特段の理由もなく膝枕を求めているのだ。
つまり触れ合いたいと思ってくれている。
そんなことは好きな相手にしか求めないし、自分にできることならなんだってしてあげたかった。
「膝枕、いいですよ。ソファーに座りますね」
「いいのか?」
「はい、もちろんです」
日奈子が四人掛けサイズのソファーに座ると、皇牙は早速ごろんと横になる。
いつもと違う角度で見る皇牙の顔はやはり綺麗で、形のいい頭の重みや、首からの体温をじんわりと感じた膝が喜んでしまう。
