初めて飲む本格的なジンジャーエールは、ぴりっと刺激的でありながらも甘くて、日奈子の今の気分にぴったりだ。
「いやー、まさかプロポーズしちゃうとは思いませんでした」
「交際ゼロ日婚ならぬ……交際ゼロ日婚約ですねー」
「日奈子ちゃんとの出会いは、皇牙様にとって運命だったんですよね」
「いつどこに運命の出会いが転がってるかわからないってことが、よくわかりました。僕も運命の出会いを見逃さないようにしなきゃです」
D4はヴィーガン用のフルーツサンドを頬張りながら、キャッキャとはしゃぐ。
皇牙は「どれがいい?」と日奈子に訊いてくれたうえに、イチゴかマンゴーか迷う日奈子に、「シェアするか?」と提案してくれた。
「はい!」
イチゴ一切れとマンゴー一切れをゲットして、日奈子は「フルーツサンド食べるの憧れてたんです」と大喜びする。
父親が買ってきたことがあったが、結衣花に頼まれたからという理由で、結衣花の分しかなかったのを思いだした。
もやもやとする嫌な記憶を心の中で「えいっ」と横に放り投げ、日奈子はイチゴのフルーツサンドにかぶりつく。
使われているのは、見たこともないほど大きく綺麗なイチゴだった。
クリームの甘さとイチゴの甘さ、そしてほどよい酸味のハーモニーが抜群に美味しく、ほっぺたが落ちそうになる。
「うわぁ、うわぁ……フルーツサンドってこんなに美味しいんですねっ」
「でしょー? 竜王マーケットのフルーツサンドは有名店にも負けないクオリティーなんだよ。イチゴとマンゴーもいいけど、ナガノパープルも美味しいから食べて」
赤羽に勧められた日奈子は、紫色の大きなブドウの断面が美しいフルーツサンドに手を伸ばす。
「皇牙さん、これもシェアしてくれますか?」
「もちろん」
二切れで一パックになっているのを二人で分けて、同時にぱくりと頬張った。
皮ごと食べられる大粒のブドウが、白いクリームの中に宝石のように埋まっていて、食べるとパチンと皮が弾ける小気味よい食感のあとに、驚くほど濃厚な果汁が溢れてくる。
「……んんーっ! これ、ブドウの味が物凄く濃いです」
砂糖を控えた上品な生クリームが、ナガノパープルの芳醇な甘みを引き立てていた。
