──うわぁ……こういうのアーバン・インダストリアルっていうんだっけ? 凄くカッコイイしお洒落だけど、生活するにはちょっと淋しい感じの部屋。ああ……でも似合う。大スターの皇牙さんには物凄く似合ってる。
ストイックなモノトーンの聖域に踏み込んだ日奈子は、ついきょろきょろと部屋を見回してしまう。
D4達は当たり前のようにテーブルに向かい、紙袋からフルーツサンドを出したり食器棚からグラスを出したりと、分担しててきぱきと動いていた。
「俺の部屋に来るのは初めてだよな」
「あ、はい! あまりにもカッコイイお部屋なんで、ちょっとびっくりしました」
「日奈子の部屋とはだいぶ違うからな。俺はこういうほうが落ち着くんだ」
「なんかわかります。俺様クールな皇牙さんのパブリックイメージにぴったりです」
「俺様クールか……」
皇牙は苦笑しつつ日奈子をテーブルに案内し、スマートな所作で椅子を引く。
日奈子が「すみません、ありがとうございます」と礼を言って座ると、皇牙は耳に顔を寄せてきて、「今夜は祝賀会だな」と意味深に囁く。
試合に勝った祝いではなく、婚約祝いというニュアンスが含まれている気がした。
他の五人にも聞こえたらしく、綾人が「いいシャンパンを開けましょう」と笑う。
テーブルの上には断面が美しいフルーツサンドがずらりと並び、D4が「こっちはヴィーガン用で、こっちが動物性クリーム使ってるやつね」と説明してくれた。
「日奈子は何が飲みたい? シャンパンに似たジンジャーエールもあるぞ」
「あ、それでお願いします。雰囲気だけでも同じ感じのものがいいです」
「よし、そうしよう」
上機嫌な皇牙は自らジンジャーエールを取ってきて、シャンパングラスに瓶入りのジンジャーエールをとくとくと注ぐ。
シャンパンの栓も抜かれ、七人全員がグラスを手にした。
日奈子のグラスからはジンジャーの香りが漂い、下手すると咳き込みそうなくらい辛みが強い。
「ではでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。まずは皇牙様と日奈子さんの婚約、そして新・恐竜王の誕生を祝って、乾杯ーっ!」
綾人が乾杯の音頭を取り、全員で「乾杯!」とグラスを交わした。
