竜ヶ島の船着き場からクルーザーに乗った日奈子は、皇牙と綾人と共に学園に戻る。
低層分譲マンションのような第一寮の三階に上がると、D4が待ち受けていた。
皇牙と日奈子に向かって紙製の花びら入りクラッカーをパパパパーンと鳴らし、「皇牙様、日奈子ちゃん、おめでとうございます!」と声を揃える。
「わっ、びっくりした!」
「日奈子ちゃん、婚約おめでとう!」
「皇牙様のプロポーズ、バッチリ映ってましたよ!」
「生餌から婚約者に大出世なんて、夢とロマンに溢れてるよね!」
「日奈子ちゃんなら納得だよ、凄いお似合い!」
いつものように赤羽と青沼と緑木と黄山に次々祝われたが、日奈子は黄山が放った「お似合い」という言葉にもっとも心をつかまれた。
お世辞だとわかっているし、釣り合いが取れていないことも承知しているけれど、そう言ってくれる黄山の優しさが嬉しい。
世界中に「不釣り合い」「身のほど知らず」と罵られたとしても、ここには祝福してくれる人達がいる。四人もいる。綾人を含めれば五人の頼もしい味方だ。
──明日から罵詈雑言の嵐みたいになるかもしれないけど、気にせずに頑張ろう。私は、皇牙さんについて行くって決めたんだから。
他人のネガティブな強い感情のみを読み取ってしまう日奈子は、針の筵を覚悟してD4に笑い掛ける。
「ありがとうございます」と言うと、「皇牙様のどこに惹かれたんですかー?」とインタビュー風に拳を向けられた。マイクを持っている振りをする赤羽に、日奈子は照れながらも「優しいところに……」と答える。
D4は「おおっ」と目を見張り、あれこれと茶化しつつ祝福してくれた。
食事の用意もしてくれていて、竜王マーケットで仕入れたフルーツサンドを皇牙の部屋で食べることになる。
日奈子は皇牙の部屋に入るのが初めてだったので、少し緊張しながら入室した。
廊下の最奥にある特別な扉の向こうは、無機質な大理石のホワイエになっていて、季節の花が飾られていた。
ホワイエの先には居室があり、重厚なグレーの静寂が広がっている。
壁面の多くはコンクリートの打ちっ放しで、磨き上げられた黒い大理石の床が窓の外に広がる夜景を鏡のように反射していた。
贅沢な広さがあるにもかかわらず、余計な装飾を一切排除したアーバン・モダンな空間は、刺すような冷たさを孕んでいる。
低層分譲マンションのような第一寮の三階に上がると、D4が待ち受けていた。
皇牙と日奈子に向かって紙製の花びら入りクラッカーをパパパパーンと鳴らし、「皇牙様、日奈子ちゃん、おめでとうございます!」と声を揃える。
「わっ、びっくりした!」
「日奈子ちゃん、婚約おめでとう!」
「皇牙様のプロポーズ、バッチリ映ってましたよ!」
「生餌から婚約者に大出世なんて、夢とロマンに溢れてるよね!」
「日奈子ちゃんなら納得だよ、凄いお似合い!」
いつものように赤羽と青沼と緑木と黄山に次々祝われたが、日奈子は黄山が放った「お似合い」という言葉にもっとも心をつかまれた。
お世辞だとわかっているし、釣り合いが取れていないことも承知しているけれど、そう言ってくれる黄山の優しさが嬉しい。
世界中に「不釣り合い」「身のほど知らず」と罵られたとしても、ここには祝福してくれる人達がいる。四人もいる。綾人を含めれば五人の頼もしい味方だ。
──明日から罵詈雑言の嵐みたいになるかもしれないけど、気にせずに頑張ろう。私は、皇牙さんについて行くって決めたんだから。
他人のネガティブな強い感情のみを読み取ってしまう日奈子は、針の筵を覚悟してD4に笑い掛ける。
「ありがとうございます」と言うと、「皇牙様のどこに惹かれたんですかー?」とインタビュー風に拳を向けられた。マイクを持っている振りをする赤羽に、日奈子は照れながらも「優しいところに……」と答える。
D4は「おおっ」と目を見張り、あれこれと茶化しつつ祝福してくれた。
食事の用意もしてくれていて、竜王マーケットで仕入れたフルーツサンドを皇牙の部屋で食べることになる。
日奈子は皇牙の部屋に入るのが初めてだったので、少し緊張しながら入室した。
廊下の最奥にある特別な扉の向こうは、無機質な大理石のホワイエになっていて、季節の花が飾られていた。
ホワイエの先には居室があり、重厚なグレーの静寂が広がっている。
壁面の多くはコンクリートの打ちっ放しで、磨き上げられた黒い大理石の床が窓の外に広がる夜景を鏡のように反射していた。
贅沢な広さがあるにもかかわらず、余計な装飾を一切排除したアーバン・モダンな空間は、刺すような冷たさを孕んでいる。
