先輩に、人生ではじめてのラブレターを書いた。
出会った日のこと。
夏休み中、どれだけ先輩に会いたかったか。
図書室で偶然再会できて飛び上がりそうなくらいうれしかったこと。
勉強を教えてもらえる時間が幸せだと感じたこと。
月に一度、一緒に出掛けることができたのが今でも夢みたいに思えること。
先輩の夢を一緒に追いかけたいこと。
先輩のことを隣で支えたいこと。
一か月に一回でもいいから同じ時間を過ごしたいこと。
先輩のことが大好きということ。
先輩の彼女になりたいこと。
思いを全部詰め込んで、何度も何度も書き直して。
卒業式の前日、やっときれいにまとまったものが書きあがった。
バレンタインのときと同じように、ちゃんと自分で先輩に渡すお菓子を作った。今度は、前よりも少し要領よくできたし、前よりもきれいにできた気がした。
渡すときに言うことも考えた。
自分の中でいちばんしっくりくるものを、妥協なく選び抜いた。
そして、やってきた卒業式の日。雲一つない晴天で、桜も少しだけ咲いていた。
三月初めなんて、こんなものか。どうせならもっと咲いてたらよかったのに。
「桃香、いつもよりかわいいね。いい感じじゃん」
「ほんと? 変じゃない?」
ちょっとだけかわいさを重視したメイクをした。いつもよりかわいいと、それが鎧になってちゃんと伝えられる気がしたから。
「うん。きっと大丈夫だよ。桃香と本田先輩、お似合いだし。関係もいい感じだと思うし」
夏実に最後に背中を押されて、私は一人で先輩の教室に向かった。
胸元に桜の花のブローチを付けて、わいわい話しているたくさんの人の中からでも、先輩はすぐに見つけられる。キラキラして、まるで王子様みたいだ。
「桃香ちゃん」
先輩もすぐに私に気付いてくれる。
先輩の中の私も、お姫様だったらいいな。
「みんなと話さなくていいんですか?」
話していた人との会話を打ち切って、すぐにこっちに来てくれる。それくらいには、先輩の中では大きい存在って思ってもいいのかな。
「うん。腐るほど話したからね」
そう笑って、私たちは図書室に向かった。
再開した場所。何度も会った場所。
私にとって、宝物のような場所。
「すみません、こんなところまで来てもらっちゃって」
「いいよいいよ。僕も最後に来たかったし。あんなに騒がしいと、落ち着かないでしょ?」
わかっているのか、ただ単純にお菓子を渡すというイベントだけだと思っているのか、読めない。
何度も深呼吸をして、背中に隠していた紙袋を差し出す。
中にはラブレターを入れた。目の前で読まれると恥ずかしいから、紙袋の一番下に押し込んだ。
「先輩、卒業おめでとうございます」
「ありがとう。お菓子も本当に作って来てくれたの? うれしいよ」
のんきに受け取ってくれた先輩をまっすぐ見て、もう一度息を整えた。
「先輩、本田先輩」
「ん? どうした?」
いつも通り。なにも変わらない受け答え。察してはいなさそうだ。
「先輩、好きです。好きです。先輩の彼女になりたいです。これからも隣にいたいです」
言えた。言った。
私はドキドキして、顔を上げた。
出会った日のこと。
夏休み中、どれだけ先輩に会いたかったか。
図書室で偶然再会できて飛び上がりそうなくらいうれしかったこと。
勉強を教えてもらえる時間が幸せだと感じたこと。
月に一度、一緒に出掛けることができたのが今でも夢みたいに思えること。
先輩の夢を一緒に追いかけたいこと。
先輩のことを隣で支えたいこと。
一か月に一回でもいいから同じ時間を過ごしたいこと。
先輩のことが大好きということ。
先輩の彼女になりたいこと。
思いを全部詰め込んで、何度も何度も書き直して。
卒業式の前日、やっときれいにまとまったものが書きあがった。
バレンタインのときと同じように、ちゃんと自分で先輩に渡すお菓子を作った。今度は、前よりも少し要領よくできたし、前よりもきれいにできた気がした。
渡すときに言うことも考えた。
自分の中でいちばんしっくりくるものを、妥協なく選び抜いた。
そして、やってきた卒業式の日。雲一つない晴天で、桜も少しだけ咲いていた。
三月初めなんて、こんなものか。どうせならもっと咲いてたらよかったのに。
「桃香、いつもよりかわいいね。いい感じじゃん」
「ほんと? 変じゃない?」
ちょっとだけかわいさを重視したメイクをした。いつもよりかわいいと、それが鎧になってちゃんと伝えられる気がしたから。
「うん。きっと大丈夫だよ。桃香と本田先輩、お似合いだし。関係もいい感じだと思うし」
夏実に最後に背中を押されて、私は一人で先輩の教室に向かった。
胸元に桜の花のブローチを付けて、わいわい話しているたくさんの人の中からでも、先輩はすぐに見つけられる。キラキラして、まるで王子様みたいだ。
「桃香ちゃん」
先輩もすぐに私に気付いてくれる。
先輩の中の私も、お姫様だったらいいな。
「みんなと話さなくていいんですか?」
話していた人との会話を打ち切って、すぐにこっちに来てくれる。それくらいには、先輩の中では大きい存在って思ってもいいのかな。
「うん。腐るほど話したからね」
そう笑って、私たちは図書室に向かった。
再開した場所。何度も会った場所。
私にとって、宝物のような場所。
「すみません、こんなところまで来てもらっちゃって」
「いいよいいよ。僕も最後に来たかったし。あんなに騒がしいと、落ち着かないでしょ?」
わかっているのか、ただ単純にお菓子を渡すというイベントだけだと思っているのか、読めない。
何度も深呼吸をして、背中に隠していた紙袋を差し出す。
中にはラブレターを入れた。目の前で読まれると恥ずかしいから、紙袋の一番下に押し込んだ。
「先輩、卒業おめでとうございます」
「ありがとう。お菓子も本当に作って来てくれたの? うれしいよ」
のんきに受け取ってくれた先輩をまっすぐ見て、もう一度息を整えた。
「先輩、本田先輩」
「ん? どうした?」
いつも通り。なにも変わらない受け答え。察してはいなさそうだ。
「先輩、好きです。好きです。先輩の彼女になりたいです。これからも隣にいたいです」
言えた。言った。
私はドキドキして、顔を上げた。


