大切な人を傷つける、温かい春景色

 テストから数日経った今日、解答用紙の返却が行われた。
「一之瀬桃香ー」
 先生に呼ばれて、教卓の前まで歩く。無言で手渡された解答用紙を受け取って、席に着いてから恐る恐る半分に折られたそれを開く。
 ……三十二点……?
 やっぱりか、と思う気持ちと、絶対みんなもいつもより点数低いんだ、と思う気持ちが自分の中でグラグラ揺れている。
 全員のテストを返し終わった先生は、黒板にクラスと学年の平均点を書いた。
学年の平均点は、六十六点。それを二で割ると……。
最悪だ。ギリギリで赤点の仲間入り。
学年主任から、次のテストで本気を出さないと定期テストで欠点になってクリスマスが消える、と脅されるらしい招集にお呼ばれされることが確定してしまった。
でも、メイクは覚えたし、ダイエットもうまいこと波に乗ってきているし。それに、まだ欠点を取ったわけじゃないし。
……いや、そう考えてもショックなものはショックだ。
とりあえず今日は、放課後は図書室に行ってちょっとだけ勉強してから帰ろう。
今日はいつもより綺麗にメイクができたというのに、探しに行く心の余裕はこのテストの結果によって削られてしまった。
帰る前に事情を説明すると、夏実は「それはそう」と残念がることもなく頷いて、石田先輩と帰って行った。
私は帰りの荷物を持って、そのまま図書室に向かった。