子リスの兄妹、ママを探しに行く

リスは生まれてから十週間くらいで、乳離れをします。それからは、自分で探した物だけを食べるようになります。アルディとディージャにもそろそろ、その頃がやってきました。ある日、二匹とも自分たちで食べ物を探しに行った後、巣に戻ってママの帰りを待っていました。

ところが、ママはなかなか帰ってきません。巣の下の草むらを誰かが走る音がすると、ママかもしれないと思って期待しました。ところが、それは、うさぎでした。二匹はがっかりしました。また、誰かが走る音がしました。今度は、ネズミでした。とてもがっかりしました。またまた、誰かが走る音がしました。これは、ウッドチャックでした。どうしようもなくがっかりしました。その次は、誰かが木を昇って来る音がしました。二匹は、「今度こそ、ママに違いない」と期待をつのらせました。それは、隣の木に住むおばさんのリスでした。このおばさんはママのお姉さんです。心配して様子を見に来てくれたのです。

仕舞には、一生けんめい鳴いていた鳥たちも寝静まってしまいました。それでも、まだママは帰ってきません。アルディとディージャは、真っ暗な夜を、生まれて初めてママなしで過ごさなければなりませんでした。心配で心配で、眠れない夜でした。とうとうディージャは泣き出してしました。悲しい時は、リスだって泣いてもいいですよね。

アルディは、ディージャよりほんの数分早く生まれただけですが、一応、お兄さんということで、泣きたいところをこらえていました。その代わり、時々、後足でどんどんと木の枝をけって、気を紛らわせていました。辛い時は、リスだって足を踏み鳴らしてもいいですよね。

そして、夜が明けました。ママはとうとう帰ってきませんでした。二匹は乳離れしたとは言え、まだまだ、色々なことをママに頼っていました。どうしても、ママと一緒に居なくては気が済みませんでした。

すると、また、おばさんリスがやってきました。おばさんは、二匹のことをなぐさめようとしましたが、うまくできませんでした。どんなに優しくても、やはり、ママではないのです。ところで、リスの世界では、お父さんたちは子育てには参加しません。私たち人間には納得できないことですが、リスの世界では当然のことなのです。それで、この話には、お父さんリスは出てきません。

さて、ママは次の日も、次の夜も帰ってきませんでした。そして、リスの場合、人間の世界と違って、どこかに行方不明の届けを出すというようなことはありません。一日、二日して帰ってこない場合、普通、リスは諦めなければならないのです。

ところで、アルディとディージャは、まだまだ一人前とは言えません。それで、哀れに思って、おばさんが二匹を自分の巣に連れてきました。ところが、おばさんはすでに自分の子供が五匹居るので、急に、巣がきゅうくつになってしまったのです。