恋人繋ぎは、アクスタと

 わたしは恋をしている。

 大好きな彼が暮らすのは、わたしの住むこの小さな街からずっとずっと遠く離れた、大きな街。

 彼に会えるのは、毎週金曜日。
 日付が変わると同時に、わたしはスマホを握りしめ、彼の元へ急ぐ。
 小さな画面の奥に、彼の姿を探す。時には会えないこともある。
 だから一瞬でも彼の姿を見ることができたなら、それはもう、ただひたすらにかっこ良くて愛おしくて……語彙力のなさが恨めしい。

 そして――彼とはこの十月から、水曜日にも会えるようになった。
 彼にもっと会いたい。彼をもっと知りたい。
 そう想い続けて一年とちょっと。願いを叶えてくれてありがとうございます。神様仏様、この世界の創造主様。

 深夜一時。
 今週もわたしは眠い目をこすりながら、テレビの前に正座する。彼に会えるのだから、自然に背筋がしゃんとする。
 そして、お気に入りのフリルのクッションを抱きしめたまま、金曜日には聞けない彼のその低く柔らかな声を耳にそっと閉じ込める。濡れ羽色をした軽やかにそよぐ髪を、夜より深い色をした瞳の輝きを、目に焼き付ける。
 数々の過酷な試練を乗り越えてきただけあって、その身体は細身ながら逞しく、きれい。

 彼との時間が終わり、心が満たされて悶えながらころころと転がるベッドは、甘くふわふわの綿雲になる。
 ふんわり包み込まれたと思えば、そのまま心地良い夢の世界へ落ちていく。もしあなたのその両腕でわたしの身体をやさしく包んでくれたなら、どんなに幸せだろう……なんて、願いながら。

 わたしは、画面の向こうにいる彼を見守ることしかできない。
 想いが通じないことだって、わかっている。好きだなんて、面と向かって言えるはずもない。

 でもいいの。
 あなたがいるだけで、わたしの世界はあなたへの好きで彩られている。
 だから、想うだけならいいよね?