今日は、ぼくの方が早めに授業が終わった。
玲衣くんは遅いから先に玲衣くんの部屋に帰ってきた。
先に、夕ご飯の準備をしよう。
今日は何を作ろうかな?と考えスマホを手に取る。
最近玲衣くんは忙しいから、食欲が少しずつ減ってる。
だから消化が良くて栄養があるものがいいなと思った。
そう思ってスマホにそれを打ち込んだ。
提案されたメニューを指でスクロールしながら、一つの文字に目が止まった。
鶏肉のさっぱり煮
うん。これにしよう。そう思ってメニューを確認した。
メニューも決まった。チラリと時計を見る。
まだ作り始めるには時間が余っていた。
玲衣くんの部屋をぐるりと見渡した。
そうだ!
思いついて、またスマホを手に取る。
文字を打ち込み検索をかけた。
ページが出てきて、イメージに合うものを探していく。
これだ!
さっそく注文をした。
明後日には到着する。
画面を見ながらにっこりと笑った。
よし!玲衣くんが帰ってくる前にご飯の支度をしようとテーブルにスマホを置いて立ち上がった。
数日後、スマホにメッセージが届いた。
宅配ボックスに荷物が到着したことを知らせるお知らせだった。
(ついに!きた!)
画面を見るだけで、にやけてしまう。
隣にいる玲衣くんが不思議そうにぼくを見る。
「伊吹どうしたの?何かいいことあった?」
「うん!あった!後で玲衣くんにも教えるね」
それだけ伝えた。
玲衣くんは、何か言いたそうな顔をしたけど黙って頷いた。
2人でそのまま肩を並べて校門をでる。
「玲衣くん、今日は食べたいものある?」
「伊吹が作ってくれるものならなんでも美味しいよ。あっ、でもこの前の鶏肉のさっぱり煮は食べやすかった」
あの日玲衣くんは、美味しいと言いながら箸が進んでた。やっぱりしばらくは食べやすいものにするほうが良さそうだ。
「じゃあ今日はお魚のみぞれ煮とかは?」
隣の玲衣くんを見て聞いてみる。
玲衣くんは静かに笑って頷いた。
「伊吹いつもありがとう。もう少し落ち着いたらぼくも作るから」
「ううん。お互い忙しい時は交代で作るの決まり守る必要ないよ。遠慮なしっ」
少しだけ視線を落としてぼくにそう言う玲衣くん。
玲衣くんを心配させたくなくて指をピンッとしておどけた顔をして笑う。
玲衣くんもぼくの姿を見て笑ってくれた。
「玲衣くん。明日はお休みだけどゆっくり朝寝てね」
「なんで?明日は出かけないの?」
「明日は玲衣くんを充電する日にする!だからお家でゆっくり過ごそう」
ぼくがそう伝えたら、玲衣くんは笑ってくれた。
「ありがとう。伊吹大好きだよ」
ぼくの目を見てそう言ってくれた。
「玲衣くん!不意打ちすぎる。ぼく、ドキドキした」
胸に手を当てて衣くんにそう伝える。
「ふふっ。伊吹をドキドキさせれたんならよかった」
目を細めてそんなことを言う玲衣くん。
マンションに帰り、宅配ボックスから荷物を取り出す。
手の中なおさまる小さな箱。
玲衣くんはぼくの手元に目をやる。
「何を頼んだの?」
「内緒っ!」
玲衣くんの目を見てそう言って笑った。
そのまま2人で玲衣くんの部屋に帰る。
リビングに入り、手に持っていた荷物をテーブルに置く。
玲衣くんの視線はずっとその箱に注がれてる。
「玲衣くん座ろう」
2人でテーブルに向かい合わせで座る。
ぼくが荷物を開けてる間もずっと玲衣くんの視線は箱のまま。
荷物を取り出して、玲衣くんの視線まで高く上げる。
「それって……」
びっくりした顔してる玲衣くん。
「うん。綺麗でしょ?」
青いビー玉みたいなキラキラしたガラスで出来たストラップ。
「玲衣くんみたいなもの身につけたいなと思って探したら、玲衣くんの部屋にピッタリなものあったの」
ぼくがそう言ったら玲衣くんはストラップに静かに手を伸ばした。
「ぼくみたい?」
不思議そうに首を傾げる玲衣くん。
「うん。玲衣くんみたいに澄んでて綺麗で真っ直ぐな感じがぴったりだなって」
ガラス玉を撫でてる玲衣くん。
その間にもう一つの荷物を取り出して玲衣くんに見せる。
「そしてこれも」
また玲衣くんの視線に見えるように大きくかかげる。
「それは?」
目を大きく見開いた玲衣くん。
オレンジと黄色が混ざり合ってるガラス玉。
「これはね、ぼくの部屋ぽいなと思って。ぼくみたいだから玲衣くんに持ってて欲しくて」
玲衣くんに手渡す。
玲衣くんは、そのストラップも受け取ってくれた。
光りに当ててみたりして眺めてる。
その後ぼくの顔をみて笑った。
「うん。ぼくこれ好き。伊吹を感じられる」
玲衣くんがそう言ってくれた。
「よかった!あのね、ぼくがこの青を、玲衣くんにはこのオレンジを持って欲しくて選んだの」
この2つを買った意味を説明する。
玲衣くんは2個のストラップを目の位置に並べてじっくりみてる。
しばらく黙ってみてたけど、視線がぼくに戻ってきた。
「伊吹ありがとう。ぼくこれ好き。ぼくと伊吹みたいだね」
そう言って、青いガラス玉のストラップをぼくに渡してくれた。
「ね。一緒にスマホにつけよう。そしたらいつも玲衣くんを感じられていいかなっと思ったの」
玲衣くんはカバンからスマホを取り出してさっそくつけ始めてくれる。
つけ終わってスマホを持ち上げて角度を変えてみてる。
「伊吹ありがとう。伊吹がいつも一緒にいるみたい」
ぼくにそう言ってくれた。
「玲衣くんが喜んでくれてよかった。これでいつも一緒にいられるね」
そう言ったら玲衣くんも頷いてくれた。
「さっ!じゃあぼくはご飯の準備するね」
そう言って立ち上がった。
「じゃあぼくはお米を研ぐよ」
玲衣くんもそう言って立ち上がってキッチンに向かった。
テーブルには青とオレンジのストラップが付いたスマホが置かれたまま。



