ぼくは、今日こそは絶対に玲衣くんに告白する。
(頑張れいぶき)
家を出る前に「いぶきがんばれ、エイエイオー」と腕を上げて自分に勇気づけをして家を出る。
あの日、はーくんと廊下で会って玲衣くんに気持ちを伝えてないことに気がついた。
絶対帰って告白する!そう意気込んでた。
それなのに……3日も経ってる。
(3日、ぜんぶ撃沈してる……)
1日目は、玲衣くんと一緒に帰って来て2人でご飯を作った。お腹いっぱいになって2人でテレビを見てたらぼくはいつの間にか寝てて玲衣くんに起こされ部屋に戻って寝た。
朝、目が覚めて告白できてない。撃沈だ。とベッドの上でガクッと肩を落とした。
2日目は、玲衣くんが実習で遅くなるから先に帰っててと言われた。
ぼくは待つと言ったけど玲衣くんがぼくを待たせるのは心配そう言ってくれたから先に帰った。
玲衣くんが好きな生姜焼きを作って待ってた。
玲衣くんが帰って来てすぐにキッチンに来てくれた。
フライパンを覗き込んで、「伊吹の手料理ぼく好きだよ」そう微笑んでくれた。
その笑顔にぼくの心臓は撃ち抜かれて舞い上がっちゃった。
そのままご飯を食べてテーブルでお互い課題をしてたから告白の雰囲気にならなくて撃沈。
昨日は、ぼくが校外学習だった。
玲衣くんはぼくの部屋で待っててくれた。
鍵を開けてたら玲衣くんが玄関まで来てくれてて出迎えてくれた。
「伊吹におかえりって言えるの、いいね」
玲衣くんが笑ってくれるから、ぼくの心臓はまた撃ち抜かれた。
壁ドンするどころか、ぼくの方が玲衣くんに翻弄されてる。
壁ドンしよう!そう思ってたけど、その前にまずは、きちんと告白をしよう!
早く玲衣くんの隣に入れる権利を手に入れたい。
昨日までを振り返ってそんなことを考えながら帰って来た。
今日もぼくは校外学習だっから玲衣くんはもう帰ってる。
(今日こそは!がんばる)
その気持ちで部屋のドアをあける。
「玲衣くんただいま――」
玄関を開け、玲衣くんに聞こえるように元気な声を出す。
タッタッタ。玲衣くんの足音が聞こえてくる。
「おかえり伊吹。お疲れさま」
リビングから出て来てぼくのそばに来てくれる玲衣くん。
「ただいま。玲衣くんにお迎え来てもらうの嬉しい」
「伊吹が喜んでくれるんなら、毎日するよ」
そう言って笑ってくれるから玲衣くん。
玲衣くんの言葉でぼくの中の玲衣くん好きメーターがどんどん増えていく。
(今日こそ、恋人の権利を手に入れるんだ)
小さくギュッと手を握る。
「玲衣くん今日は昨日作ったカレー食べる?」
「伊吹がそう言うと思ってご飯は炊いてるよ。あと伊吹が好きなゆで卵としてあるよ」
そう言いながらイタズラっぽい顔で笑う玲衣くん。
玲衣くんがぼくのためにゆで卵を作ってくれてることが嬉しい。
ご飯食べる前に玲衣くんに話をしよう。
そう意気込んだ。
キッチンに入りご飯の準備をしようとしてくれてる玲衣くんを呼び止めた。
「玲衣くん。いぶきちょっとお話ししたいことあるの」
ちょっと緊張して、声がうわずった。
玲衣くんびっくりしたような怪訝そうな顔をしながらぼくの元に来てくれた。
2人で向かい合わせでテーブルに座る。
玲衣くんの顔を見ると緊張する。
胸に手を当てて、ゆっくり深呼吸をして口を開く。
「あのね……。玲衣くん。いぶきは玲衣くんが好きです。いぶきにずっと玲衣くんの隣にいれる権利をください。いぶきを玲衣くんの恋人にしてください」
心臓が飛び出すんじゃないかと思うぐらいドキドキしてる。
ちらっと玲衣くんの顔をみたら、驚いた顔をしてる。
(えっ……これって……)
ぼく間違えた?もしかして、玲衣くんはぼくのことそんな目で見てなかった。
ドキドキしてた胸が一気に萎んでいく。
両手をギュッと握る。
指先が少し冷たい。
玲衣くんがぼくの目を見ながらゆっくり口を開いた。
「ぼく……伊吹とはもう恋人だと思ってた」
玲衣くんの言葉にぼくはびっくりして立ち上がった。
「えっ!?うそ?」
「伊吹に一緒にいたい言ったあの日。ぼくは伊吹に告白したんだよ」
玲衣くんの元に行き、玲衣くんを抱きしめる。
「玲衣くんごめん。いぶきが鈍感さんで」
玲衣くんもぼくを抱きしめ返してくれる。
「ぼくもきちんと告白だよ。恋人になってといえば良かったね」
「ううん。いぶきが鈍感さんだったの。玲衣くんの気持ち嬉しい」
玲衣くんの体温が心地いい。
全身に玲衣くんの温かさが広がっていく。
(そっか……玲衣くん……いぶきに告白してくれてたんだ)
今じわじわとその事実が全身に駆け回る。
抱き合ってた体を一回離す。
そして玲衣くんと向き合う。
玲衣くんの目線に合わせるように膝立ちをする。
「玲衣くん」
そっと玲衣くんの名前を呼ぶ。
玲衣くんの顔を見つめて、手を握る。
「玲衣くん、いぶきは玲衣くんが好きです。玲衣くんのずっと隣にいる権利をください」
改めてぼくの気持ちを玲衣くんに伝える。
「ぼくも伊吹が好きです。ぼくの隣にずっといてください」
玲衣くんもぼくの顔を見ながらそう言ってくれた。
そのまま玲衣くんと抱き合った。
「伊吹。今日からこれで恋人だね。次は間違えないでよ」
玲衣くんが耳元でクスクスと笑う。
「うん!今日から恋人。ずっと一緒だね」
玲衣くんがそっと伊吹から離れる。
そしてぼくの手を握ってくれる。
「伊吹。今度からお互いなんでも言葉にしていこうね。悩みもぜんぶ2人で解決していこう。なんでも2人だよ」
玲衣くんがそう言ってくれた。
「うん。お互いなんでも話し合おうね。いぶきの隣はず――っと玲衣くんだよ」
ぼくも玲衣くんの手をしっかりと握った。
「ぼくの隣はずっと伊吹だけ。それに、ぼくの中では伊吹以上に優先するものはないよ。伊吹だけ」
玲衣くんはぼくにそう言ってくれた。
冷たかった指先は今では熱があるみたいにあつい。
(ぼくたちの関係が新しくなった)



