夏休みが終わってしばらく経った。葉が少しだけ色を変え、秋の到来を予感させている。夏の暑さの残り香がまだ仄かに漂っているころ、彰良と侑斗は墓参りに来ていた。
藤吉と書かれた墓石の前で、線香を灯し手を合わせる。燻る煙が立ち昇る中、彰良の胸には複雑な思いが広がっていた。
「結局幾子さんも、亡くなっちゃったな」
「うん……」
藤吉家の人間が大量に変死した事件は、町中を騒がす大ニュースとなった。しかしそれも、ある日を境にパッタリと消えた。きっと情報統制が取られたのだろう。
「斑目童子の呪いで死ぬ人は昔からいて、警察もそれを承知してるってとこかな」
「……なんか、気味悪い」
自分が住んでいたこんな近くに、悍ましい呪いが潜んでいたなんて。しかもそれが、彰良たちにも取り憑いている。
「ていうかさー、彰良がそのまま呪いに取り殺されてたら、俺も普通に死んでたじゃんね」
彰良の罪悪感の根源は侑斗への恋心だ。彰良の呪いが完成していた場合、間違いなく侑斗も死んでいただろう。
笑えずに黙っている彰良を見て、侑斗が少しだけ眉を下げた。
「怖い?」
「俺が、もし、呪いに取り込まれてしまっていたらって……」
一度は前を向いたものの、藤吉家の凄惨な事件を聞いて、彰良の心は恐怖に萎縮していた。
こんなことではダメだとわかっているのに、人の心とはどうしてこうも不自由なのだろうか。
沈む彰良の手を、侑斗が徐に取った。優しい感触に、下を向いていた顔を上げる。
「なー彰良。その時は、一緒に死んでやるよ」
その眼差しが、あまりに優しくて。指先から伝わる体温が、仄かに温かい。
どうしてだろう。侑斗の言葉は、いつだって彰良をどうしようもなく奮い立たせる。
瞳に滲んだ涙を腕で拭いとる。彰良が、顔をくしゃりとさせて笑った。
「ばーか、死なねーし」
侑斗の手を握り返す。
二人の頭上には、雲一つない青空が広がっていた。
「つーかさ、彰良最近、小林と妙に仲良くね? ……ちょっと、その……妬けるんだけど……」
「え(笑)」
「おい、なにニヤけてんだよ!」
藤吉と書かれた墓石の前で、線香を灯し手を合わせる。燻る煙が立ち昇る中、彰良の胸には複雑な思いが広がっていた。
「結局幾子さんも、亡くなっちゃったな」
「うん……」
藤吉家の人間が大量に変死した事件は、町中を騒がす大ニュースとなった。しかしそれも、ある日を境にパッタリと消えた。きっと情報統制が取られたのだろう。
「斑目童子の呪いで死ぬ人は昔からいて、警察もそれを承知してるってとこかな」
「……なんか、気味悪い」
自分が住んでいたこんな近くに、悍ましい呪いが潜んでいたなんて。しかもそれが、彰良たちにも取り憑いている。
「ていうかさー、彰良がそのまま呪いに取り殺されてたら、俺も普通に死んでたじゃんね」
彰良の罪悪感の根源は侑斗への恋心だ。彰良の呪いが完成していた場合、間違いなく侑斗も死んでいただろう。
笑えずに黙っている彰良を見て、侑斗が少しだけ眉を下げた。
「怖い?」
「俺が、もし、呪いに取り込まれてしまっていたらって……」
一度は前を向いたものの、藤吉家の凄惨な事件を聞いて、彰良の心は恐怖に萎縮していた。
こんなことではダメだとわかっているのに、人の心とはどうしてこうも不自由なのだろうか。
沈む彰良の手を、侑斗が徐に取った。優しい感触に、下を向いていた顔を上げる。
「なー彰良。その時は、一緒に死んでやるよ」
その眼差しが、あまりに優しくて。指先から伝わる体温が、仄かに温かい。
どうしてだろう。侑斗の言葉は、いつだって彰良をどうしようもなく奮い立たせる。
瞳に滲んだ涙を腕で拭いとる。彰良が、顔をくしゃりとさせて笑った。
「ばーか、死なねーし」
侑斗の手を握り返す。
二人の頭上には、雲一つない青空が広がっていた。
「つーかさ、彰良最近、小林と妙に仲良くね? ……ちょっと、その……妬けるんだけど……」
「え(笑)」
「おい、なにニヤけてんだよ!」
