「……唯子さん。奥方様の手紙、あなたが持っているのではなくて?」
託すとしたら、彼女しか考えられなかった。千歳の問いに真っ青になった唯子は、無言のまま部屋を出て行く。
「申し訳ございません! 怖かったのです」
そして、戻ってきた彼女の手には、封筒があった。
「奥方様から、預かっておりました。もしもの時は、宮様にお渡ししてほしいと……ですが、いざとなると怖くて、ずっと渡す機会を見失っておりました。申し訳ございません」
「なぜ、今まで黙っていたの?」
「この文をお渡しすれば、何かが取り返しのつかないことになる気がして……」
もうすぐ藤乃は縁を切られてしまう。そうなった時に、手紙を隠匿していたことが知られたら……そんな保身も働いたようだ。
「……宮様のお部屋に行きます」
そう千歳が言うと、唯子は深々と頭を下げて出て行った。
封は、切られていなかった。丁寧な、少し右肩上がりの筆跡で宛名だけが記されていた。あの時発見した紙片に書かれていた筆跡とよく似ている。
「宮様、よろしいでしょうか?」
託すとしたら、彼女しか考えられなかった。千歳の問いに真っ青になった唯子は、無言のまま部屋を出て行く。
「申し訳ございません! 怖かったのです」
そして、戻ってきた彼女の手には、封筒があった。
「奥方様から、預かっておりました。もしもの時は、宮様にお渡ししてほしいと……ですが、いざとなると怖くて、ずっと渡す機会を見失っておりました。申し訳ございません」
「なぜ、今まで黙っていたの?」
「この文をお渡しすれば、何かが取り返しのつかないことになる気がして……」
もうすぐ藤乃は縁を切られてしまう。そうなった時に、手紙を隠匿していたことが知られたら……そんな保身も働いたようだ。
「……宮様のお部屋に行きます」
そう千歳が言うと、唯子は深々と頭を下げて出て行った。
封は、切られていなかった。丁寧な、少し右肩上がりの筆跡で宛名だけが記されていた。あの時発見した紙片に書かれていた筆跡とよく似ている。
「宮様、よろしいでしょうか?」

