雨が小やみになった隙に、甘味屋の者が使いに行ってくれて、先に屋敷に戻した自動車に再び乗り込むことになった。暁臣は隣に座った千歳に目をやる。
自動車の窓を打つ雨は、いつの間にか、再び窓の外の景色が見えにくくなるほど激しさを増していた。
「傘を借りて帰るつもりだったが、思っていた以上に強くなってきたな」
「……そうですね」
返す千歳の声には、いつもの強さがなかった。先ほど裁った縁の重さが、今になって効いてきたようだ。
「顔色が悪いぞ。帰ったら少し休め」
自分がそう口にしたことに、暁臣は驚いた。今まで、自分からこんな言葉をかけたことがあっただろうか。
「たいしたことではありませんから」
そう強がって見せているわりに、千歳の顔色は真っ青だ。
自動車が屋敷に到着すると、唯子が広げた傘を差しだした。自動車の扉から玄関の扉を開くまでのわずかな間にも濡れないようにという気づかいだ。
先に下りた千歳の身体がぐらつく。暁臣は考えるより先に、その身体を支えていた。唯子の差し出していた傘が暁臣の肩にぶつかって揺らされ、冷たい雨が二人の肩を容赦なく濡らし始めた。
自動車の窓を打つ雨は、いつの間にか、再び窓の外の景色が見えにくくなるほど激しさを増していた。
「傘を借りて帰るつもりだったが、思っていた以上に強くなってきたな」
「……そうですね」
返す千歳の声には、いつもの強さがなかった。先ほど裁った縁の重さが、今になって効いてきたようだ。
「顔色が悪いぞ。帰ったら少し休め」
自分がそう口にしたことに、暁臣は驚いた。今まで、自分からこんな言葉をかけたことがあっただろうか。
「たいしたことではありませんから」
そう強がって見せているわりに、千歳の顔色は真っ青だ。
自動車が屋敷に到着すると、唯子が広げた傘を差しだした。自動車の扉から玄関の扉を開くまでのわずかな間にも濡れないようにという気づかいだ。
先に下りた千歳の身体がぐらつく。暁臣は考えるより先に、その身体を支えていた。唯子の差し出していた傘が暁臣の肩にぶつかって揺らされ、冷たい雨が二人の肩を容赦なく濡らし始めた。

