どんな結末が相手に待っているのかまでは千歳にはわからない。たぶん、老女に関わろうとする度に、相手方には不運が起きることになる。
――それに。
どこに厳重にしまってあったとしても、彼女の証文はもう消えているはずだ。だって、千歳が切ったのは、証文と老女の縁だから。
そう説明したけれど、暁臣が理解したのかどうかはわからない。
「……顔色がよくないな」
「縁を切るのには、気を配らなければなりませんから」
千歳の説明を聞いて彼が口にしたのは、そんな言葉だった。たしかに、少々疲れた。
「……雨、ですね」
不意にぽつりと頬を打つ雫に、千歳は空を見上げる。
「そこで雨宿りさせてもらおう」
暁臣が、千歳の手を引いて走り出した。初めて手を握られて、千歳の鼓動が跳ねる。この人とは、そんな関係ではないのに。
暁臣の手は大きくて、千歳を力強く引っ張ってくれる。甘味屋の軒先に飛び込んだ時には、雨は激しさを増していた。
暖簾をくぐると、店の中はぬるい湯気で満ちていた。
――それに。
どこに厳重にしまってあったとしても、彼女の証文はもう消えているはずだ。だって、千歳が切ったのは、証文と老女の縁だから。
そう説明したけれど、暁臣が理解したのかどうかはわからない。
「……顔色がよくないな」
「縁を切るのには、気を配らなければなりませんから」
千歳の説明を聞いて彼が口にしたのは、そんな言葉だった。たしかに、少々疲れた。
「……雨、ですね」
不意にぽつりと頬を打つ雫に、千歳は空を見上げる。
「そこで雨宿りさせてもらおう」
暁臣が、千歳の手を引いて走り出した。初めて手を握られて、千歳の鼓動が跳ねる。この人とは、そんな関係ではないのに。
暁臣の手は大きくて、千歳を力強く引っ張ってくれる。甘味屋の軒先に飛び込んだ時には、雨は激しさを増していた。
暖簾をくぐると、店の中はぬるい湯気で満ちていた。

