きっと、彼女にとって縁結社まで赴くのはとてつもなく敷居が高く感じられるのだろう。たしかにここで千歳と話ができたのは、彼女にとっては幸運なことだ。
こんな風に出歩いていることがそもそも珍しいのだから。
「かまわない。頼む」
頼むとまで暁臣に言われてしまったら、千歳が勝手に断るわけにもいかない。寄り道をして、老女の家に寄ることになった。
案内された老女の住まいは狭い長屋だった。家具を売り払ったあと、この長屋に引っ越してきたそうだ。室内にあるのは長持が一つと小さなちゃぶ台だけだった。
擦り切れた畳の上に正座をする。千歳は、持ち歩いている小刀を膝の上に置いた。
「本当に、よろしいのですね」
千歳が問うと、老女は頷いた。千歳はそれだけで刃を出すことなく、もう一度尋ねる。
「一度きりの機会です。もう一度伺います。断ちたいですか」
「お願いします。この縁を切りたいのです」
二度目の答えを聞いてから、千歳はようやく小刀を引き抜いた。
「なぜ、二度も聞く」
「一度目は、私に促された答えかもしれません。本当の意思は、二度目にしか出ないこともあります」
暁臣の問いに、千歳は返す。
こんな風に出歩いていることがそもそも珍しいのだから。
「かまわない。頼む」
頼むとまで暁臣に言われてしまったら、千歳が勝手に断るわけにもいかない。寄り道をして、老女の家に寄ることになった。
案内された老女の住まいは狭い長屋だった。家具を売り払ったあと、この長屋に引っ越してきたそうだ。室内にあるのは長持が一つと小さなちゃぶ台だけだった。
擦り切れた畳の上に正座をする。千歳は、持ち歩いている小刀を膝の上に置いた。
「本当に、よろしいのですね」
千歳が問うと、老女は頷いた。千歳はそれだけで刃を出すことなく、もう一度尋ねる。
「一度きりの機会です。もう一度伺います。断ちたいですか」
「お願いします。この縁を切りたいのです」
二度目の答えを聞いてから、千歳はようやく小刀を引き抜いた。
「なぜ、二度も聞く」
「一度目は、私に促された答えかもしれません。本当の意思は、二度目にしか出ないこともあります」
暁臣の問いに、千歳は返す。

