千歳が問うても暁臣はすぐには答えなかった。ただ、千歳の持つ紙片から目を離さずにいる。
その沈黙こそが、次に何を確かめるべきか千歳に教えていた。
蘆名冬近が久世宮家を訪ねてきたのは、それから三日後のことだった。
「妹との縁を切る算段がついたと聞いて伺いました」
慇懃な物言いだが、目には隠しきれない探るような色がある。先日、暁臣と共に陰陽寮に届を出したのを知ったのだろう。
冬近は南座敷に通されるなり、千歳へ視線を流した。
彼の目には、千歳を馬鹿にする色が浮かんでいた。陰陽師達は、縁を切るしかできない千歳のことを馬鹿にする人も多い。
「これが、噂の後妻殿ですか。後妻の座に目がくらんだ縁切り女、とお見受けしますが」
「私は、久世宮家の死縁を裁つために参りました」
「死縁、死縁と。妹はもう死んでいるのですよ。供養すればそれでよろしいでしょうに」
この男は、妹が未練を残して死んだことを認められないらしい。そういう人は多いけれど、ここまで不遜な物言いをする人は珍しかった。
その沈黙こそが、次に何を確かめるべきか千歳に教えていた。
蘆名冬近が久世宮家を訪ねてきたのは、それから三日後のことだった。
「妹との縁を切る算段がついたと聞いて伺いました」
慇懃な物言いだが、目には隠しきれない探るような色がある。先日、暁臣と共に陰陽寮に届を出したのを知ったのだろう。
冬近は南座敷に通されるなり、千歳へ視線を流した。
彼の目には、千歳を馬鹿にする色が浮かんでいた。陰陽師達は、縁を切るしかできない千歳のことを馬鹿にする人も多い。
「これが、噂の後妻殿ですか。後妻の座に目がくらんだ縁切り女、とお見受けしますが」
「私は、久世宮家の死縁を裁つために参りました」
「死縁、死縁と。妹はもう死んでいるのですよ。供養すればそれでよろしいでしょうに」
この男は、妹が未練を残して死んだことを認められないらしい。そういう人は多いけれど、ここまで不遜な物言いをする人は珍しかった。

