道具として迎えたはずの相手だった。恐れるか、金を欲しがるか、そのどちらかだろうと踏んでいた。
千歳は、どちらでもない目で暁臣を見返してくる。
彼女に対する感情に、なんという名をつければいいのか、暁臣自身にもまだわからなかった。
契約を結んでから十日目。少しだけ、ここでの生活に慣れてきた気がする。
千歳は精力的に屋敷の中を調べ、藤乃の心残りを探そうとしていたが、十日たってもまだ見つからない。
久世宮家の庭園には、池がある。毎朝、庭を散歩する度にその池を覗き込む。何匹も放されている錦鯉達は、悠々と池の中を泳いでいた。水面に映る空は、今日も薄曇りだ。
(……変ね)
この屋敷は、霊脈のある場所に立っているが、流れる霊力が弱くなっている。気にはなるが、今は藤乃が先だ。
「奥方様のことで、少し伺いたいのだけれど」
朝食後、台所に向かった千歳は、洗い物をしていた唯子に声をかけた。
唯子の手が、盥の中で止まる。周りに人がいないことを確かめてから、ようやく声を落として答えた。
「私でお答えできることでしたら……ですが、私などの答えに、意味があるのでしょうか?」
千歳は、どちらでもない目で暁臣を見返してくる。
彼女に対する感情に、なんという名をつければいいのか、暁臣自身にもまだわからなかった。
契約を結んでから十日目。少しだけ、ここでの生活に慣れてきた気がする。
千歳は精力的に屋敷の中を調べ、藤乃の心残りを探そうとしていたが、十日たってもまだ見つからない。
久世宮家の庭園には、池がある。毎朝、庭を散歩する度にその池を覗き込む。何匹も放されている錦鯉達は、悠々と池の中を泳いでいた。水面に映る空は、今日も薄曇りだ。
(……変ね)
この屋敷は、霊脈のある場所に立っているが、流れる霊力が弱くなっている。気にはなるが、今は藤乃が先だ。
「奥方様のことで、少し伺いたいのだけれど」
朝食後、台所に向かった千歳は、洗い物をしていた唯子に声をかけた。
唯子の手が、盥の中で止まる。周りに人がいないことを確かめてから、ようやく声を落として答えた。
「私でお答えできることでしたら……ですが、私などの答えに、意味があるのでしょうか?」

