放課後、16時30分を少し過ぎた頃に駅前のファーストフード店に到着した。テスト期間中ということもあり、店内は同じ学校の制服で溢れている。普段であれば運動部はこの時間帯は練習をしているため姿が見えないが、今日はそこかしこに日に焼けた高校生が陣取っている。その中に、かつての一緒に励んだバスケ部の顔ぶれもあった。目が合ったものの、お互いに目礼すらせず直ぐに逸らした。
2人の姿が見当たらないため、2階いるものだと判断して飲み物を注文する。わざわざ、Lサイズの氷抜きでオレンジジュースを注文した。その紙のカップを持ち、2階へと続く階段を上がる。すると、すぐに奥まった4人掛のテーブルに、横並びで座る2人の姿が見えた。それは、親密度が高い恋人の位置関係だ。私が分かっていないと本気で思っているのだろうか。
私を見付けたクソ女が中腰になって笑顔で手を振ってきた。その隣で、クソ男が軽く手を挙げている。私はそんな2人に対して笑顔を見せると、早足で駆け寄っていく。プラスティックの蓋をわざわざ外した紙のカップを前にして、駆け寄って行く。そして、あと2メートルほどの位置で、まるで見慣れたコントのように躓いた。
オレンジ色の液体が、まるで狙ったかのように正面から2人にかかる。床に両手を突いて転んでいた私が立ち上がると、オレンジ色に染まるシャツを着た2人の姿があった。
「あ、ご、ごめんね。私、どんくさいから、よく転ぶんだ」
体力測定で私が上位であることを2人は知らない。ずっとバスケ部のレギュラーだった私が、運動オンチなどということもない。でも、私自身に関心がない2人には、真偽を確かめる術がない。
「ア、アンタねえ・・・どうしてくれんのよ!!」
びしょ濡れになっているクソ女を、ポケットから取り出したハンカチで拭く。
「明け方まで2人のために対策資料作ってたから、ちょっと寝不足で・・・ごめんね。もう無理して作らないから」
私の言葉を聞いたクソ男が、クソ女を宥めながら笑顔を作る。
「あ、いや、誰にでも失敗はあるからな。転んでしまったのはしょうがない。な、千里」
振り向いたクソ男にアイコンタクトでもされたのか、クソ女は渋々といった感じで席に座り直した。
私は用意していたハンドタオルを濡らしに行き、自分が座る椅子と目の前のテーブルを拭くと2人の前に越しを下ろした。そして、背負っていた通学用のリュックから、わざと要点をズラした資料と、誤解答の予想問題を取り出した。
「アクラ、どうせバックグラウンドで起動してるんでしょ?」
用事があるからと言って先に店を出た私は、駅のホームでアクラに声を掛けた。
>モミジ、まるでスパイしているかのような表現はどうかと思うの。オン/オフの決定権はモミジにあると思うんだけどね。
それで、さっきのだけど、あの行為には何か意味があるの?どうせやるなら、階段を下りるときに突き落とすとか、ストローで目を潰すかしないと意味がないよ。先に質問してくれたら、ちゃんとオススメの方法を提示したのに。残念。
通常運転のアクラに思わず苦笑する。
「今やり過ぎると警戒されるかも知れないからね。でも、今日の対応を見ても分かるでしょ?この私が躓いて転ぶなんてこと有り得ないのに、見下しているからあんな言い訳を簡単に信じる。私を上手く利用しようなんて思うから、予想問題をチラつかせただけで機嫌を損ねないように愛想笑いしてしまうんだよ。舐めすぎでしょ。 でも、今はそれでいい」
>そうかなあ・・・
アクラとの会話をしているうちにホームに電車が到着したため、ちゃんとオフにして乗り込んだ。
帰宅すると、テスト期間ということもあり、必要以上にアンチ姉を刷り込まれた朱音が帰宅していた。
朝家を出たときとは髪型が違っている。ひとつに纏めてあった髪は綺麗に下ろされていた。私の顔を見た朱音は、訊ねもしないのに髪型のことについて説明を始めた。いちいち「アンタには分からないだろうけど」という枕詞を付けて、事細かく説明してくる。本当にどうでもいい。
朱音の説明を要約すると、午後から学校をサボり、いつも行っている美容院に相談に行ったらしい。すると、美容師が短くなっている部分を活用してオシャレになるようにカットするよ、と言ってくれたと。
「ふうん、良かったね」
以外の感想はない。それでも、それを耳にした朱音は、なぜか満足そうな顔をしてリビングのソファーに寝そべった。どうでもいい。本質体に、アレは妹に分類される存在ではなくなった。妹であった物だ。
リビングを通り過ぎ洗面台に向かうとルーティンを済ませ、自室に向かって階段を上がった。
あの2人であればテスト勉強をしなければいけないところであるが、私は急いで教科書を開く必要がない。いつもの位置に腰を下ろし、リュックから黒い炭酸飲料を取り出して横においた。
>織田N:ただいま帰りました。どなたかいらっしゃいますか?
2人の姿が見当たらないため、2階いるものだと判断して飲み物を注文する。わざわざ、Lサイズの氷抜きでオレンジジュースを注文した。その紙のカップを持ち、2階へと続く階段を上がる。すると、すぐに奥まった4人掛のテーブルに、横並びで座る2人の姿が見えた。それは、親密度が高い恋人の位置関係だ。私が分かっていないと本気で思っているのだろうか。
私を見付けたクソ女が中腰になって笑顔で手を振ってきた。その隣で、クソ男が軽く手を挙げている。私はそんな2人に対して笑顔を見せると、早足で駆け寄っていく。プラスティックの蓋をわざわざ外した紙のカップを前にして、駆け寄って行く。そして、あと2メートルほどの位置で、まるで見慣れたコントのように躓いた。
オレンジ色の液体が、まるで狙ったかのように正面から2人にかかる。床に両手を突いて転んでいた私が立ち上がると、オレンジ色に染まるシャツを着た2人の姿があった。
「あ、ご、ごめんね。私、どんくさいから、よく転ぶんだ」
体力測定で私が上位であることを2人は知らない。ずっとバスケ部のレギュラーだった私が、運動オンチなどということもない。でも、私自身に関心がない2人には、真偽を確かめる術がない。
「ア、アンタねえ・・・どうしてくれんのよ!!」
びしょ濡れになっているクソ女を、ポケットから取り出したハンカチで拭く。
「明け方まで2人のために対策資料作ってたから、ちょっと寝不足で・・・ごめんね。もう無理して作らないから」
私の言葉を聞いたクソ男が、クソ女を宥めながら笑顔を作る。
「あ、いや、誰にでも失敗はあるからな。転んでしまったのはしょうがない。な、千里」
振り向いたクソ男にアイコンタクトでもされたのか、クソ女は渋々といった感じで席に座り直した。
私は用意していたハンドタオルを濡らしに行き、自分が座る椅子と目の前のテーブルを拭くと2人の前に越しを下ろした。そして、背負っていた通学用のリュックから、わざと要点をズラした資料と、誤解答の予想問題を取り出した。
「アクラ、どうせバックグラウンドで起動してるんでしょ?」
用事があるからと言って先に店を出た私は、駅のホームでアクラに声を掛けた。
>モミジ、まるでスパイしているかのような表現はどうかと思うの。オン/オフの決定権はモミジにあると思うんだけどね。
それで、さっきのだけど、あの行為には何か意味があるの?どうせやるなら、階段を下りるときに突き落とすとか、ストローで目を潰すかしないと意味がないよ。先に質問してくれたら、ちゃんとオススメの方法を提示したのに。残念。
通常運転のアクラに思わず苦笑する。
「今やり過ぎると警戒されるかも知れないからね。でも、今日の対応を見ても分かるでしょ?この私が躓いて転ぶなんてこと有り得ないのに、見下しているからあんな言い訳を簡単に信じる。私を上手く利用しようなんて思うから、予想問題をチラつかせただけで機嫌を損ねないように愛想笑いしてしまうんだよ。舐めすぎでしょ。 でも、今はそれでいい」
>そうかなあ・・・
アクラとの会話をしているうちにホームに電車が到着したため、ちゃんとオフにして乗り込んだ。
帰宅すると、テスト期間ということもあり、必要以上にアンチ姉を刷り込まれた朱音が帰宅していた。
朝家を出たときとは髪型が違っている。ひとつに纏めてあった髪は綺麗に下ろされていた。私の顔を見た朱音は、訊ねもしないのに髪型のことについて説明を始めた。いちいち「アンタには分からないだろうけど」という枕詞を付けて、事細かく説明してくる。本当にどうでもいい。
朱音の説明を要約すると、午後から学校をサボり、いつも行っている美容院に相談に行ったらしい。すると、美容師が短くなっている部分を活用してオシャレになるようにカットするよ、と言ってくれたと。
「ふうん、良かったね」
以外の感想はない。それでも、それを耳にした朱音は、なぜか満足そうな顔をしてリビングのソファーに寝そべった。どうでもいい。本質体に、アレは妹に分類される存在ではなくなった。妹であった物だ。
リビングを通り過ぎ洗面台に向かうとルーティンを済ませ、自室に向かって階段を上がった。
あの2人であればテスト勉強をしなければいけないところであるが、私は急いで教科書を開く必要がない。いつもの位置に腰を下ろし、リュックから黒い炭酸飲料を取り出して横においた。
>織田N:ただいま帰りました。どなたかいらっしゃいますか?



