『結果発表をします』
陶揮たちはステージに並べられた。
視界を凝らすと、晃介もちゃんといる。
『今回、選ばれたのは3名です』
ざわりと声がした。
(…三人か…意外と少ない)
陶揮は頭の片隅でそんな事を考える。
『選ばれたのは…山下晴樹さん 芦葉直己さん…』
おおっと歓声が上がる。
最後の一人だ。
まだ、晃介も出ていない。
カメラが色んな人を写していく。
『…酉水晃介さんです』
わぁっと一際大きな歓声がした。
そしてパンッとクラッカーが弾ける。
(…やっぱり、か)
がっかりしているんじゃない。
なれるとも思ってなかった。
というより、晃介がアイドルになれないわけなかった。
誰よりも目に闘志を燃やしていたのは…晃介だったじゃないか。
最初から。
わかっていたことだ。
今更、気付くことでもないだろうに。
今、陶揮は目を閉じている。
ざわざわとオーディションが終わった会場で、落ちた奴らが泣きながら帰っていくのを見る。
涙を流せるのは、本気でやった人だけだ。
(…当然、自分には流れるはずもないわけだ)
そのまま、ドアを閉める。
後ろから、声をかけられた。
「陶揮」
鍵を締めた手がピクリと止まる。
けれどすぐ動いて陶揮は振り返った。
「晃介…って、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ?」
振り返ってみれば、当然、晃介がいた。
けれど、その顔に何故か悲しみを浮かべて。
「…ごめん」
「何を謝ってるんだよ、普通に実力の問題だろ?晃介には実力も才能もあった、そういうことだ」
「けど、、、陶揮の歌、すっごく良かったのに…」
陶揮は仕方無しに、今にも泣きそうな顔の頬に手を伸ばし、挟み込んだ。
そして、ニヤリと笑う。
「知ってるか?」
「え…」
「歌うって言うのは、教科書を声に出して読むのと一緒なんだ」
晃介はびっくりしたように声を出す。
「は、はひいって___」
「けどな、物語文読むときにさ、凹凸ない音読って先生ほめないじゃんか。あのとき歌ってた俺は、それなんだよ」
「…‼‼」
意味がわかったというように晃介は目を見開いた。
そのタイミングで陶揮も手を離す。
「お前はできてたしな」
「…とう、き…」
「頑張れよ、一応、応援しとくから。…ってか、ライブも行ってやるし、握手会にも行くしな」
「…ありがとう、陶揮…。また、会おうね」
「おう、じゃな」
晃介と別れた陶揮は、会場から出た。
(よっし〜〜、やっと帰れる〜〜)
すーはーと、息を吸い、吐く。
(帰る‼‼‼‼‼‼‼‼‼)
そして駅の方向へ向かう。
そんな様子の陶揮を後ろからつけているものがいた。
「ん〜、も〜〜、あとちょっとだったのに〜」
あの日から、学校でもなんかジロジロ見られるわ、外出ても人の目引くわでもう陶揮は限界状態だった。
プラス、花乃がネチネチ言ってくるわけだ。
「…忘れろ忘れろ、もう終わったことなんだよ」
陶揮は目を閉じ、しっしと虫を払う手つきで花乃に返す。
そうすると花乃は、ニヤリと笑い詰め寄ってくる。
「そういやぁ、あのオーディションのアイドルの名前決まったらしいね〜〜」
「ふーん」
陶揮は口の中に菓子を放り込み、スマホを見ながら空返事をする。
そんな様子を見、ムッとした口調で「な〜んで、こいつは聞きやしないのか…」とボソリとつぶやいているのを耳の片端で聞く。
(…もう、知ってるし)
晃介たちのグループは『NEVER』というグループならしい。
もうデビュー曲は出ていて、恐らく陶揮は一人で1万回以上聞いていると思う。
(終わったことに、興味を惹かれるなんて…前の自分じゃありえないよな…)
自分でも思いながらも苦笑してしまう。
そこに、ヴーと陶揮のスマホがなった。
知らない番号だが、怪しければ切れば良いと思いながら電話に出た。
「…ハイ」
『佐久間陶揮さんのお電話で間違いないですか?』
「…ソウデスガ」
やはり外向けには向いていない。
片言の言葉で返事をする。
というよりそれに引いて切ってくれたって構わない。
『私、芸能マネージャーの月詠と申します』
「…はい」
芸能…?と思いながらも受け答えはする。
電話相手の月詠さんという人は、そのまま続ける。
『…佐久間さん。私立・望早学園はご存知でしょうか?』
「あ、はい。えっと、芸能専門のある学校です…よね?」
少し不安になり疑問形になってしまった。
『直短に言いますが』
「はい?」
『佐久間さん、望早学園に入る気はありませんか?』
「…は?」
その月詠さんのいきなりの電話が、今後の陶揮の運命を大きく動かすことになることはまだ誰も知らない。
陶揮たちはステージに並べられた。
視界を凝らすと、晃介もちゃんといる。
『今回、選ばれたのは3名です』
ざわりと声がした。
(…三人か…意外と少ない)
陶揮は頭の片隅でそんな事を考える。
『選ばれたのは…山下晴樹さん 芦葉直己さん…』
おおっと歓声が上がる。
最後の一人だ。
まだ、晃介も出ていない。
カメラが色んな人を写していく。
『…酉水晃介さんです』
わぁっと一際大きな歓声がした。
そしてパンッとクラッカーが弾ける。
(…やっぱり、か)
がっかりしているんじゃない。
なれるとも思ってなかった。
というより、晃介がアイドルになれないわけなかった。
誰よりも目に闘志を燃やしていたのは…晃介だったじゃないか。
最初から。
わかっていたことだ。
今更、気付くことでもないだろうに。
今、陶揮は目を閉じている。
ざわざわとオーディションが終わった会場で、落ちた奴らが泣きながら帰っていくのを見る。
涙を流せるのは、本気でやった人だけだ。
(…当然、自分には流れるはずもないわけだ)
そのまま、ドアを閉める。
後ろから、声をかけられた。
「陶揮」
鍵を締めた手がピクリと止まる。
けれどすぐ動いて陶揮は振り返った。
「晃介…って、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ?」
振り返ってみれば、当然、晃介がいた。
けれど、その顔に何故か悲しみを浮かべて。
「…ごめん」
「何を謝ってるんだよ、普通に実力の問題だろ?晃介には実力も才能もあった、そういうことだ」
「けど、、、陶揮の歌、すっごく良かったのに…」
陶揮は仕方無しに、今にも泣きそうな顔の頬に手を伸ばし、挟み込んだ。
そして、ニヤリと笑う。
「知ってるか?」
「え…」
「歌うって言うのは、教科書を声に出して読むのと一緒なんだ」
晃介はびっくりしたように声を出す。
「は、はひいって___」
「けどな、物語文読むときにさ、凹凸ない音読って先生ほめないじゃんか。あのとき歌ってた俺は、それなんだよ」
「…‼‼」
意味がわかったというように晃介は目を見開いた。
そのタイミングで陶揮も手を離す。
「お前はできてたしな」
「…とう、き…」
「頑張れよ、一応、応援しとくから。…ってか、ライブも行ってやるし、握手会にも行くしな」
「…ありがとう、陶揮…。また、会おうね」
「おう、じゃな」
晃介と別れた陶揮は、会場から出た。
(よっし〜〜、やっと帰れる〜〜)
すーはーと、息を吸い、吐く。
(帰る‼‼‼‼‼‼‼‼‼)
そして駅の方向へ向かう。
そんな様子の陶揮を後ろからつけているものがいた。
「ん〜、も〜〜、あとちょっとだったのに〜」
あの日から、学校でもなんかジロジロ見られるわ、外出ても人の目引くわでもう陶揮は限界状態だった。
プラス、花乃がネチネチ言ってくるわけだ。
「…忘れろ忘れろ、もう終わったことなんだよ」
陶揮は目を閉じ、しっしと虫を払う手つきで花乃に返す。
そうすると花乃は、ニヤリと笑い詰め寄ってくる。
「そういやぁ、あのオーディションのアイドルの名前決まったらしいね〜〜」
「ふーん」
陶揮は口の中に菓子を放り込み、スマホを見ながら空返事をする。
そんな様子を見、ムッとした口調で「な〜んで、こいつは聞きやしないのか…」とボソリとつぶやいているのを耳の片端で聞く。
(…もう、知ってるし)
晃介たちのグループは『NEVER』というグループならしい。
もうデビュー曲は出ていて、恐らく陶揮は一人で1万回以上聞いていると思う。
(終わったことに、興味を惹かれるなんて…前の自分じゃありえないよな…)
自分でも思いながらも苦笑してしまう。
そこに、ヴーと陶揮のスマホがなった。
知らない番号だが、怪しければ切れば良いと思いながら電話に出た。
「…ハイ」
『佐久間陶揮さんのお電話で間違いないですか?』
「…ソウデスガ」
やはり外向けには向いていない。
片言の言葉で返事をする。
というよりそれに引いて切ってくれたって構わない。
『私、芸能マネージャーの月詠と申します』
「…はい」
芸能…?と思いながらも受け答えはする。
電話相手の月詠さんという人は、そのまま続ける。
『…佐久間さん。私立・望早学園はご存知でしょうか?』
「あ、はい。えっと、芸能専門のある学校です…よね?」
少し不安になり疑問形になってしまった。
『直短に言いますが』
「はい?」
『佐久間さん、望早学園に入る気はありませんか?』
「…は?」
その月詠さんのいきなりの電話が、今後の陶揮の運命を大きく動かすことになることはまだ誰も知らない。


