今回では、自分で作詞作曲した歌を歌い、振り付けまでもするというハードなものだった。
「作詞…」
元々、陶揮は作曲が得意だ。
とりあえず、自分の思うものをすべてノートに書き出した。
「…はは、、なにこれ…自嘲?」
やっぱり自分はそこから陰キャなんだな…と感じていると、電話がかかってきた。
「…はい」
『やっほ〜〜、陶揮、元気してる〜〜〜』
「はぁ…花乃てめぇ…」
『あ〜〜ごめんんんん‼‼‼怒らないでぇぇぇ???‼‼‼反省‼‼反省はしてるんだよ‼‼‼』
「…っち…」
陶揮は舌打ちをした。
(なぁにが「元気してる?」だ、諸悪の根源め)
電話越しに花乃がヒイヒイ言ってる。
そのままくたばれ…。
なんて、そんなのやばいからないが。
「なんのようだ、諸悪の根源よ」
『ひっど…そして、心にぐさり…」
「…切るけど」
「あ〜〜〜、まて、まてぇ…』
慌てて花乃が引き止めるように焦った声で言う。
陶揮は目をつぶり、早く切ってほしいと遠回しで言う。
「何のようだ、クソ野郎。こっちは忙しい。お前みたいに暇じゃない」
『ひどいこというねぇ…せっかく、お・と・く情報教えようと思ったのに…』
「お得ってゆっくり言うな、煽り野郎」
正直めっちゃ切りたくなったが、何やらお得情報とやらを持っているらしい。
「なんだよ、得情報ってやつは」
『…実はね、このオーディション、黒い噂があるんだよ…』
「黒い噂?」
『うん。さっき、ネットで調べてたら出てきたんだよ』
そして、ピコンと通知音がなった。
花乃からのメールを開くと、サイトコードが載せられていた。
コードを押すと、画面が開ける。
「なにこれ…」
そこには信じられない内容が書かれていた。
『幹島 航主催のオーディション、まさかのやらせ!?』
幹島航の主催オーディションとはこのオーディションだろう。
それはわかるのだが、
(…やらせ…)
まさかの疑惑浮上に、言葉も出ずに固まってしまった陶揮。
『ん…とーき?どした、黙って』
「…あ、ごめん」
『おうおう、最近、陶揮人気あんじゃん〜〜、このままアイドルなっちゃえ〜〜〜』
「だまれ、アイドルなんかならない」
フーと、息を吐き、もう時間だと強制的に切る。
「じゃ」
『え、ちょま____』
ぶちりときり、視界を天井に移す。
(…僕…俺、は、あいつみたいになりたくない、母さんと俺を見捨てたあいつと一緒の職業になんて…絶対に…)
知らず知らずのうちに唇を噛み締めていたようで、少し唇がヒリヒリした。
(だから別に関係ない。…俺は目指してない。…あいつ…晃介みたいに、本気でアイドルになろうとなんてしてない…)
眼の前のノートに目を落とす。
そしてペンを持ち、ボソリとつぶやいた。
「…どうせやるなら…ね…」
♫♪
『個人戦、本番を始めます』
アナウンスと同時に観客がわぁ…と歓声を上げた。
そして舞台裏では、オーディションで配られた公式衣装を着た少年たちが緊張した面持ちで出番を待っている。
そこに、陶揮もいた。
「とーうーき‼‼」
「…晃介」
「も〜、つれないな〜〜、嘘でもいいから「うわぁっ」って驚いてよ〜〜」
後ろからドンっと押してきたのは言うまでもなく、晃介だった。
陶揮はそんな晃介をジトリと見ながら口を開く。
「…緊張してないんだね」
「ん〜、まぁね。俺は人前出るの慣れてるし?陶揮の方こそ緊張してないんだね?人前に出るの苦手なんでしょ?」
「…緊張はしてる。普通に。人前に出るの苦手なのは変わってないし、無理。今すぐ逃げ出したい」
プハッと吐き出すように陶揮は言った。
予想しなかったかったらしい回答に晃介は目をまんまるにした。
そんな晃介を見据え、ニヤリと意地の悪い笑みを見せた。
「…どうせやるなら、暴れたいでしょ?」
そこに、スタッフらしき人物が駆け寄ってきた。
「エントリーNo.34、佐久間陶揮さんー、準備お願いしますー」
「はい」
「陶揮っ…」
「じゃ」
後ろから晃介の心配そうな視線が来る。
呼び止める声を無視し、陶揮はステージへ向かった。
『エントリーNo.34、佐久間陶揮』
スポットライトが熱く感じる。
陶揮は薄く視界を開け、深呼吸をし歌い始めた。
「『暗闇の中で 眩しい光を見た でもその光には 僕はなれない』」
その声に、ざわりと会場が揺らいだ。
陶揮にはそんなことどうでも良かったのだ。
「『その光を見るのでさえ ためらってしまうぐらい』」
『知っているか?』
懐かしい声に、視界を閉じた。
『なにが?』
少年は大きな目をパチクリとさせ、聞き返した。
その返答に、男性はニコニコしながら喋ってくれる。
『歌うってのはな、教科書を声に出して読むのと一緒なんだ。例えば、物語を読むとき何の凹凸もない音読には先生も褒めないだろう?』
『うん。けど、僕、ほめられたことあるよ?』
『ふふ、そうか、そうか〜、じゃあ、陶揮には歌の才能があるんだな』
『お父さんと一緒?』
キョトンと、少年は言った。
それに、男性は笑う。
『そうだぞ〜、大きくなったら、一緒に歌おうか』
『うん、たのしみ‼‼‼』
少年…幼い日の__は、そんな些細な約束に、太陽のような笑みを浮かべた。
「『広い世界に 自分の場所を見つけれなくなる 喜びと悲しみが交互する歌で 月が揺れた』」
昔を思い出し、少し目を開いた。
けれど、人目が怖くて閉じてしまう。
やっぱり自信なんかもてなかった。
(…昔からな)
「『心も無い歌だな そんな歌でもいつか何処かで 思い返せる日が来るまで』」
怖い。苦しい。見られたくない。
(…けれど)
「『誰にでもある 自分の嫌いな部分が 好きになれるまで 歌い続ける』」
曲が終わり、シンとした。
その途端、会場から鼓膜が張り裂けんばかりの大きな拍手が聞こえた。
恐る恐る目を開く。
そこには、笑顔があった____。
「作詞…」
元々、陶揮は作曲が得意だ。
とりあえず、自分の思うものをすべてノートに書き出した。
「…はは、、なにこれ…自嘲?」
やっぱり自分はそこから陰キャなんだな…と感じていると、電話がかかってきた。
「…はい」
『やっほ〜〜、陶揮、元気してる〜〜〜』
「はぁ…花乃てめぇ…」
『あ〜〜ごめんんんん‼‼‼怒らないでぇぇぇ???‼‼‼反省‼‼反省はしてるんだよ‼‼‼』
「…っち…」
陶揮は舌打ちをした。
(なぁにが「元気してる?」だ、諸悪の根源め)
電話越しに花乃がヒイヒイ言ってる。
そのままくたばれ…。
なんて、そんなのやばいからないが。
「なんのようだ、諸悪の根源よ」
『ひっど…そして、心にぐさり…」
「…切るけど」
「あ〜〜〜、まて、まてぇ…』
慌てて花乃が引き止めるように焦った声で言う。
陶揮は目をつぶり、早く切ってほしいと遠回しで言う。
「何のようだ、クソ野郎。こっちは忙しい。お前みたいに暇じゃない」
『ひどいこというねぇ…せっかく、お・と・く情報教えようと思ったのに…』
「お得ってゆっくり言うな、煽り野郎」
正直めっちゃ切りたくなったが、何やらお得情報とやらを持っているらしい。
「なんだよ、得情報ってやつは」
『…実はね、このオーディション、黒い噂があるんだよ…』
「黒い噂?」
『うん。さっき、ネットで調べてたら出てきたんだよ』
そして、ピコンと通知音がなった。
花乃からのメールを開くと、サイトコードが載せられていた。
コードを押すと、画面が開ける。
「なにこれ…」
そこには信じられない内容が書かれていた。
『幹島 航主催のオーディション、まさかのやらせ!?』
幹島航の主催オーディションとはこのオーディションだろう。
それはわかるのだが、
(…やらせ…)
まさかの疑惑浮上に、言葉も出ずに固まってしまった陶揮。
『ん…とーき?どした、黙って』
「…あ、ごめん」
『おうおう、最近、陶揮人気あんじゃん〜〜、このままアイドルなっちゃえ〜〜〜』
「だまれ、アイドルなんかならない」
フーと、息を吐き、もう時間だと強制的に切る。
「じゃ」
『え、ちょま____』
ぶちりときり、視界を天井に移す。
(…僕…俺、は、あいつみたいになりたくない、母さんと俺を見捨てたあいつと一緒の職業になんて…絶対に…)
知らず知らずのうちに唇を噛み締めていたようで、少し唇がヒリヒリした。
(だから別に関係ない。…俺は目指してない。…あいつ…晃介みたいに、本気でアイドルになろうとなんてしてない…)
眼の前のノートに目を落とす。
そしてペンを持ち、ボソリとつぶやいた。
「…どうせやるなら…ね…」
♫♪
『個人戦、本番を始めます』
アナウンスと同時に観客がわぁ…と歓声を上げた。
そして舞台裏では、オーディションで配られた公式衣装を着た少年たちが緊張した面持ちで出番を待っている。
そこに、陶揮もいた。
「とーうーき‼‼」
「…晃介」
「も〜、つれないな〜〜、嘘でもいいから「うわぁっ」って驚いてよ〜〜」
後ろからドンっと押してきたのは言うまでもなく、晃介だった。
陶揮はそんな晃介をジトリと見ながら口を開く。
「…緊張してないんだね」
「ん〜、まぁね。俺は人前出るの慣れてるし?陶揮の方こそ緊張してないんだね?人前に出るの苦手なんでしょ?」
「…緊張はしてる。普通に。人前に出るの苦手なのは変わってないし、無理。今すぐ逃げ出したい」
プハッと吐き出すように陶揮は言った。
予想しなかったかったらしい回答に晃介は目をまんまるにした。
そんな晃介を見据え、ニヤリと意地の悪い笑みを見せた。
「…どうせやるなら、暴れたいでしょ?」
そこに、スタッフらしき人物が駆け寄ってきた。
「エントリーNo.34、佐久間陶揮さんー、準備お願いしますー」
「はい」
「陶揮っ…」
「じゃ」
後ろから晃介の心配そうな視線が来る。
呼び止める声を無視し、陶揮はステージへ向かった。
『エントリーNo.34、佐久間陶揮』
スポットライトが熱く感じる。
陶揮は薄く視界を開け、深呼吸をし歌い始めた。
「『暗闇の中で 眩しい光を見た でもその光には 僕はなれない』」
その声に、ざわりと会場が揺らいだ。
陶揮にはそんなことどうでも良かったのだ。
「『その光を見るのでさえ ためらってしまうぐらい』」
『知っているか?』
懐かしい声に、視界を閉じた。
『なにが?』
少年は大きな目をパチクリとさせ、聞き返した。
その返答に、男性はニコニコしながら喋ってくれる。
『歌うってのはな、教科書を声に出して読むのと一緒なんだ。例えば、物語を読むとき何の凹凸もない音読には先生も褒めないだろう?』
『うん。けど、僕、ほめられたことあるよ?』
『ふふ、そうか、そうか〜、じゃあ、陶揮には歌の才能があるんだな』
『お父さんと一緒?』
キョトンと、少年は言った。
それに、男性は笑う。
『そうだぞ〜、大きくなったら、一緒に歌おうか』
『うん、たのしみ‼‼‼』
少年…幼い日の__は、そんな些細な約束に、太陽のような笑みを浮かべた。
「『広い世界に 自分の場所を見つけれなくなる 喜びと悲しみが交互する歌で 月が揺れた』」
昔を思い出し、少し目を開いた。
けれど、人目が怖くて閉じてしまう。
やっぱり自信なんかもてなかった。
(…昔からな)
「『心も無い歌だな そんな歌でもいつか何処かで 思い返せる日が来るまで』」
怖い。苦しい。見られたくない。
(…けれど)
「『誰にでもある 自分の嫌いな部分が 好きになれるまで 歌い続ける』」
曲が終わり、シンとした。
その途端、会場から鼓膜が張り裂けんばかりの大きな拍手が聞こえた。
恐る恐る目を開く。
そこには、笑顔があった____。


