START☆MUSIC

陶揮は学校生活に慣れ始めていた。
「おはよう、巳くん」
「…はよ」
ルームメイトの巳とはうまく行っているのか行っていないのか、よくわからない関係だが、一応、喧嘩なく過ごしてきている。
授業にもきちんと出ている。
今日は休日だ。
(…休日は暇だしなあ…何しよう)
そう悩んでいるとき、ピンポーンとインターホンがなった。
「…はい」
『あ、陶揮くん〜?ちょっといいかなぁ〜?』
インターホンに写っていたのはマアイだ。
出ればいきなり、用件を述べる。
「実はですねぇ、3ヶ月に一回、学校の生徒とか、OBの人とかぁ、知りあいの人たちとぉ遊ぼぉって企画があるんですよぉ。だからぁ、陶揮くんもぉ参加しないぃ?って誘いに来たんですけどぉ…」
「遊び…?どこ行くの?」
「今回はぁ、遊園地ってれんれんがぁ言ってましたぁ‼‼」
マアイは嬉しそうに語る。
れんれんというのは憐のことに違いないだろう。
「ちょっとした、異年代交流会って思ってくれればいいですよぉ〜」
「…行こうかな」
「オッケです〜、集合時間は今から2時間後の9時ですよぉ〜」
(何か、楽しそう)
今までさんざん友達がいなかった陶揮は、『友達と遊園地』なるものがどんなものか知りたかったのだ。
マアイはニコニコしながら、手を振る。
そしてついでというように、コソッと言った。
「あ、…巳さんも誘ってくれると嬉しいですねぇ…」
「マアイさんが言わないの?」
「…うーん、少し話かけずらいんですよねぇ…」
あのマアイが少し困ったように微笑む。
陶揮は、それに少し不思議さを思いながらもコクリと頷く。
そして、陶揮とマアイは玄関先で分かれる。
「あ、あの…」
おずおずと巳に話しかける。
「…」
「今日、何か出かけるだしいんだけど…巳くん、来る?と、マアイさんが…」
「…いかない」
「はい、ごめんなさいでした…」
断られた瞬間ササッと退却する。
(やっぱりか…、悲しいって…)
陶揮は苦笑いしながら支度をする。
「…じゃあ、留守番、よろしく」
「…ん」
巳は短い返事をしてきた。


「あ、とーきくんきた」
「遅いよぉ〜?」
陶揮が時間に行くと、人が集まっていた。
「ごめんって」
「えと…今日は結構な人が集まりますね」
そして士が視線を向けた先には、社会人っぽい人達が集まっている。
そこにいる人の一人が登記を見つけ、声を発した。
「Oh!?Are you Toki sakuma!?」
「え⁉」
(英語⁉)
確かに、その英語を発した男性は少し外国人風味がある。
喋りかけられて、戸惑う陶揮。
そこに助け舟を出したのは、スタンダードな人だった。
「陶揮さん、大丈夫?」
「…か、和樹さんっ‼‼」
そう、この中で、一番の常識人、和樹だった。
(神です‼‼和樹さんっ‼‼)
和樹はルーアに向き直り、少し怒った口調で詰める。
「Rua‼he is beafraid of your‼Be quiet!!」
「え⁉」
(こっちも英語⁉)
そして、
「すみませんね、陶揮さん。この人は少し特殊で。プライベートでは英語しか喋らないんですよ」
「え⁉…ち、ちなみに、今なんて言ったんですか?」
「ああ、『彼はあなたのことを恐れています、黙っていてください』と」
和樹はやはりやるときはやる男だ。
「またですかぁ、大変だよねぇ、和樹くんはぁ…」
「…ほんと、疲れますよ…」
マアイがぐったりとした和樹の背中をさする。
困らせた張本人は、「Kazu?What`s the matter with you?(和樹?どうしたんですか?)」と反省もなく心配している。
そしてボソリと和樹が「You are know best…(あなたが一番わかってる…)」といっていた。
「あはは、まーたやってるっすね〜〜〜〜〜」
「憐く〜ん、この人のことちゃんと管理してよぉ〜…君のグループのメンバーだよねぇ?」
「ごめんね、まーさん…ルーアがなんか陶揮くん見つけた瞬間走り出したしたから…」
マアイと憐があはは、と笑いながら喋っている。
そして、陶揮ははたまた気付く。
「和樹さん、亮さんはどうしたんですか?見当たらないんですけど…」
「ああ、亮は仕事だよ。ロケだってさ」
「そうなんですか?亮さんなら、こういうところ、フルパワー参加しようとしますよね」
「それがさぁ…、朝からこれに参加するって言って、全っ全仕事いかなかったんだよね…あ、けどマネージャーさんに強制連行されたよ」
心なしか、和樹は嬉しそうににっこにこしながら、語ってくれた。
そんな話をしていると、横からルーアが入ってきた。
「Are you Toki Sakuma?」
「え、は?」
「はぁ…陶揮さん。彼は、あなたは佐久間陶揮さんですか?と聞いています」
和樹が通訳してくれる。
それを信じ、とりあえず陶揮は返す。
「…いえす?」
「Oh!Leary!? I kwon you!!I like your voice‼I as if though dream your meet!!」
「…なんて?」
何を言っているのかさっぱりわからない陶揮はすぐさま和樹にきく。
「彼は、「そうなんですか⁉、私はあなたのことを知っています!私はあなたの声が好きですよ!あなたと会えるなんて夢みたいだ‼‼」…と」
「ああ、ありがとうございます??」
そんなたわいもない?話をしていると、士が人数を数え終わったのか声をかけてきた。
「かずくん陶揮くんルーアさんそろそろ行きましょうか」
「そうだね…」
「GO!」
「あ、はい?」
いまいち話についていけていない陶揮だが、こればかりは許してほしいと願った。

『れっつ、ライド〜‼』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「Kazu!It is fan!!(和樹、楽しいですね‼‼)」

ルーアに連れ回され、ジェットコースター地獄周りをさせられていた和樹はヨロヨロしながら乗車口から出てくる。
薄茶の髪は風でボサボサになり、当の本人も青い顔をしている。
そんな和樹の後ろからルンルンで楽しそうに現れたのは、元凶のルーアだ。
「うぅ…ジェットコースター好きだったけど、これだけ乗ると流石に嫌いになる…」
「大丈夫ですか?あ、水買っておいたのでよかったら」
「…ありがとうぅ…」
和樹は差し出された水をグビグビと飲む。
プハッと息を吐き出す姿はさながら美しい。
「どうしたんですか?」
「あ、何にもありません」
思考が宇宙に飛んでいた陶揮は、和樹の声で我に返る。
そして他の人達は散ってそれぞれ乗りたいものに乗っていく。
ルーアと憐はポップコーンの出店に並んでいるため、陶揮は和樹とベンチで待っている。
「…陶揮くんってさ、なんであのアイドルオーディションに参加しようと思ったの?」
「え…っと…」
(実際は、幼馴染に無理やり参加させられただけなんだけど…)
「幼馴染が、参加してみろって言ってきて」
「じゃあ、最初は任意じゃなかったんだね」
陶揮にも、幼馴染をかばうくらいの器量はある。
和樹は手元にあるペットボトルを見つめながら話を続ける。
「ここにいる人達は、色んな理由があってアイドルという職業を目指してるんだ」
「?」
陶揮はイマイチ意味がわからなかった。
だが和樹が陶揮のためにヒントを与えてくれているのはわかった。
「君は、ここにいて何がしたい?」
和樹は陶揮に優しい声で問た。